(ブルームバーグ):銀現物価格は9日のロンドン貴金属市場で一時4.8%上昇して1オンス=51.23ドルに達し、1980年以来の水準を付けた。安全資産への需要急増が、供給ひっ迫をさらに悪化させている。
10日の銀価格は、1980年に億万長者のハント兄弟が仕掛けた銀の買い占め以来の高値をつけた。
銀は年初来で価格が約75%上昇するなど急騰を続け、記録的な上昇を見せる金を上回るパフォーマンスとなっている。米国の財政リスクや過熱する株式市場、米連邦準備制度(FRB)の独立性を巡る懸念が高まる中、安全資産に逃避する動きが広がっている。

銀の主要取引市場であるロンドンでは、自由に調達可能な銀の不足が価格を押し上げる要因となっており、銀の借り入れコストも急上昇している。今年に入り、米国が銀に関税を課すとの懸念が浮上したことで、銀を米国に輸送する動きが急増した結果、ロンドンの在庫は減少し、貸出可能な現物が一段と少なくなっている。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銀先物は1980年1月に記録した最高値の1オンス=50.35ドルを引き続き下回って取引されている。

銀は投資資産として世界的に取引される一方で、太陽光パネルや風力タービンといった産業用途が販売量の半分以上を占める。需要は今年も5年連続で供給を上回る見通しだ。
銅先物も高騰
ロンドン金属取引所(LME)の銅先物も3%余り上昇。長期休暇から明けて中国のトレーダーが戻ってきたことに加え、供給障害の新たな兆しが表れたことに反応している。
指標となるLMEの銅先物は一時、1トン=1万1000ドルに達し、昨年付けた1万1000ドル超の過去最高値に接近した。上海先物取引所での力強い買いや、北米市場の朝方に堅調な値動きとなっていることが相場を後押ししている。
カナダの鉱業大手テックリソーシズがチリに持つ主力資産など、主要鉱山の生産見通しが相次ぎ引き下げられていることが銅価格を押し上げてきた。9月に土砂崩れが発生し、生産停止に追い込まれた世界第2の銅鉱山、インドネシアのグラスベルグ鉱山の動向もトレーダーは注視している。
インドネシアの国営アンタラ通信が現地当局者の情報として伝えたところによると、同鉱山の生産再開は来年半ば以降になる見通しという。

原題:Silver Hits $50 for First Time Since Hunt Brothers’ 1980 Squeeze、Copper Nears New Record as China Buyers Return to Tight Market(抜粋)
(相場を更新し、第7段落以降に銅相場の動向を加えます)
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