(ブルームバーグ):自民党総裁選を直前に控えた10月第1週(9月29日-10月3日)の日本株市場で、海外投資家による現物の買越額は12年半ぶりの高水準を記録した。半面、先物では同水準をやや上回る金額を売り越し、双方を合算した投資スタンスはほぼ中立だった。
東京証券取引所が9日に発表した投資部門別売買状況によると、10月1週に海外勢は現物株を差し引き1兆2398億円買い越し、金額は2013年4月2週以来の多さだった。大阪取引所によると、先物では1兆2900億円の売り越しており、現物と先物を合算したベースでは502億円の小幅な売り越しとなった。
ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は「総じて見ると買っているわけでもないが、積極的に売っているわけでもないというスタンス」と述べ、「先週まではそろそろ市場は調整するとの見方も多かった」と指摘した。

10月1週は相対的に銀行株のウエートが大きい東証株価指数(TOPIX)が週間で1.8%下げた半面、海外テクノロジー株や値がさの半導体・人工知能(AI)関連銘柄の影響を受けやすい日経平均株価は0.9%高と高安まちまち。自民党総裁選の結果を見据える思惑的な売買が中心で、明確な方向性は出にくかった。
4日実施の総裁選では、財政出動と金融緩和の維持で経済成長を志向する高市早苗前経済安全保障相が事前の予想に反し勝利し、景気刺激策への期待などで今週のTOPIXは9日までに4.1%高、日経平均は6.1%高と大きく上昇している。
財務省データでは過去最高
一方、財務省が9日朝に発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、前週(9月28日-10月4日)に非居住者は日本株を2兆4799億円買い越した。同統計では過去最高の買越額となる。
財務省統計では近年、期末に当たる3月と半期末の9月に非居住者による日本株売りが膨らみ、直後の4月と10月に買い戻される傾向が見られていた。外資系証券会社の配当取りに絡む取引が関連しているとの指摘がある。
財務省と日本取引所グループの統計には調査対象範囲などいくつかの違いがあり、2つのデータの間で大きな食い違いが生じるケースがある。

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