(ブルームバーグ):バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、総額1兆9000億ユーロ(約338兆円)規模のオランダ年金システムの制度変更に伴う市場変動の可能性に備え、年末年始の期間中も欧州金利取引デスクをフル稼働体制で維持する。
アナリストによれば、この年金制度改革は既に長期債の利回り上昇を促している。
年金基金の過半数が年末から年明けにかけて新制度への移行を予定しているが、その時期は市場流動性が低下するため相場の振れが大きくなりがちだ。
BofAの欧州・中東・アフリカ(EMEA)金利取引責任者、カル・エルワハブ氏によると、同行はユーロ金利スワップおよび欧州国債取引チームの人員を厚くする計画だ。パリとロンドンに拠点を置く両チームは通常、年末は「最小限の人員」で運営しているという。
新制度の下での「ライフサイクル投資」への2026年初めの移行に向けて多くの年金が準を進めており、市場関係者の間では警戒感が高まっている。
この投資方法は、リスク資産への配分を増やし債券への投資を減らすことにつながる。加えて、金利リスクをヘッジするために保有していたユーロ金利スワップの一部を解消する必要も生じるため、予期せぬ市場変動に対応できる体制が求められる。
エルワハブ氏は「今年の人員体制は例年とは大きく異なる」と述べ、「スワップと欧州国債の両事業で年末までフル稼働体制を維持する」と語った。その間のフローを管理するためにシニアレベルの人材も配置するとも述べた。「オランダの年金基金から伝えられている状況を踏まえるとこれが非常に重要だ」と付け加えた。
オランダ中央銀行は6日、年金の過半数が26年前半に新制度へ移行するとの見通しを示した。一部基金が移行を延期すると表明していた中で、移行時期に一定の明確性が示された形だ。同中銀はまた、「円滑かつ慎重な移行を確実にするため、業界と協力している」とも説明した。

制度移行に伴うリスクはすでに広く認識されており、政府もボトルネック緩和のために、制度上の移行後に1年間の調整期間を設けている。それでも、かつてユーロ金利スワップのトレーダー兼マーケットメーカーだったエルワハブ氏は「12月は依然として活発な取引が見込まれる」と述べた。
同氏は年末特有の厳しい取引環境を踏まえ、特に警戒感を強めている。1月は新規債の発行が活発な時期であるため、年が変わる前には例年、債券の売りが先行し利回りが上昇する傾向がある。その結果、「やや買い手が手控える状況になる」と同氏は説明した。
原題:BofA Scraps Year-End Vacations for Traders on Dutch Pension Risk(抜粋)
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