(ブルームバーグ):米金融サービス会社キャンターフィッツジェラルドは、スイスの銀行UBSグループ傘下のヘッジファンド部門オコナー買収で同行と合意したが、条件の変更を求めている。経営破綻した米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループ向けのリスク債権で、オコナーは多額の損失を被る恐れがある。
非公開情報を理由に関係者が匿名で語ったところでは、ファースト・ブランズ向けエクスポージャーの中心部分であるストラテジー、「ワーキング・キャピタル・ファイナンス」グループを買収対象から除外し、全体の価格を引き下げる案が協議されているという。
キャンターは今年5月にオコナー買収でUBSと合意した。ファースト・ブランズは60億ドル(現在の為替レートで約9160億円)のローン借り換えに失敗し、不透明な簿外ファイナンス利用を巡る不安が高まる中で、9月28日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。
金融機関が売掛債権の買い取りや立て替えを行うサプライチェーン・ファイナンスを通じて、オコナーはファースト・ブランズに資金提供していた。裁判所に提出された文書によれば、オコナーが主張する債権は1億1610万ドル相当に上る。
キャンターとUBSの担当者はコメントを控えた。8日のチューリヒ株式市場で、UBSの株価は約1%高の32.82スイスフランで取引を終えた。
ファースト・ブランズを巡っては、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ傘下のポイント・ボニータ・キャピタルが、企業間取引の資金繰りを支援するトレードファイナンス・ポートフォリオの約25%(約7億1500万ドル)をファースト・ブランズが関係する売掛債権に投資していた事実も分かった。
キャンターによるオコナー買収は、2025年10-12月(第4四半期)の手続き完了が現時点で予定されている。関係者の1人によると、白紙撤回の可能性は低い。
UBS傘下の複数のファンドは、さまざまな投資ストラテジーを通じて、合計で5億ドルを超えるファースト・ブランズへのエクスポージャーを保有している。裁判所に提出された文書によれば、このうちUBSヘッジファンド・ソリューションズが、最大の無担保債権者という。
原題:Cantor Seeks New UBS O’Connor Deal on First Brands Exposure (1)(抜粋)
(UBS傘下ファンドのエクスポージャーの情報などを追加して更新します)
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