(ブルームバーグ):東京海上ホールディングスは、国際事業の拡大を目的に100億ドル(約1兆5000億円)超の買収を行う可能性がある。同社で海外事業を担当する常務執行役員のブラッド・アイリック氏が明らかにした。
同社は海外利益の約80%を米国で稼いでいるが、中期的には北米全体で70%程度にすることを目指していると、アイリック氏がインタビューで語った。国際事業拡大の原資には、他の日本企業との間のいわゆる株式持ち合いの解消で得られる資金の一部を充てる予定だという。同氏によれば、これらの株式の市場価値は約250億ドルに上る。
アイリック氏は「今はまさに、解放される資本を生かし、将来にわたって持続的に企業価値を生み出す事業に投じる歴史的な好機だ」と述べた。
6月に就任した小池昌洋社長は、国外での事業基盤を広げることを最優先課題に掲げている。
東京海上は、中南米と東南アジアでの展開を強化し、現状それぞれ約6%にとどまる海外利益の中での割合を、それぞれ10%と15%に引き上げることを狙っている。
これらの地域で、個人向け保険を扱う小規模事業者の買収や、現地でまだ普及していない特定分野向け専門保険の販売拡大による成長を目指すとしている。
また、オーストラリアでは専門保険事業を強化する方針で、小規模な補完的買収から大型案件まで幅広く選択肢を検討している。同国の保険業界ではインシュアランス・オーストラリア・グループ(IAG)、QBEインシュアランス・グループ、サンコープ・グループが主なプレーヤーとなっている。
アフリカについては、新たな買収よりも、既に22.5%を保有するホラード・グループへの出資比率引き上げを検討する意向だとアイリック氏は述べた。
米国でも成長余地を見込んでおり、主に小規模な買収を通じて拡大を図る方針だ。大型案件は既存事業との重複が生じる可能性があるため慎重に判断するという。それでも、企業向け保険市場における同社のシェアは2%程度にとどまっており、成長余地は大きい。将来的に大型買収を排除するつもりはないとアイリック氏は述べた。
原題:Tokio Marine Weighs More Than $10 Billion of International M&A(抜粋)
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