ブルームバーグ・ビジネスウィークがまとめた2025-26年「最高のビジネススクール(経営大学院)」調査によると、経営学修士(MBA)プログラムの世界的な人気度でハーバード・ビジネス・スクール(HBS)が3年連続で首位の座を守った。

HBSは米国の総合ランキングでは4位だったが、学費や入学の制約がなければ選びたいと答えた学生と卒業生は全体の2割を超え、最多だった。米総合番付トップのスタンフォード大学経営大学院が15%で続いたが、5%を超えた学校は他になかった。

ブランド戦略・コンサルティング会社キャリントンクリスプのパートナー、アンドリュー・クリスプ氏はHBSの魅力について、経営教育の最高水準として100年余りにわたって築いてきたブランド力と、その卒業証書が発揮するキャリア上の影響力を挙げる。同社はコロンビア大学経営大学院などを顧客に持つ。

一方、キャリア・サービス&エンプロイヤー・アライアンスが集計した24年の就職データでは、就職活動を行ったハーバードの新卒者で卒業から3カ月以内に就職先が決まった割合は77%にとどまった。卒業3カ月以内はMBAの実効性を測る標準的な期間とされる。それでもクリスプ氏は「大多数の卒業生は履歴書にハーバードと書くだけで良い仕事に就けると信じており」、この期待こそがHBSの評価を支えていると指摘する。

 

ただ、名声を得るには金銭的負担もある。HBSの年間授業料と諸費用は5.5%上昇し、8万7608ドル(約1300万円)に達した。25年卒クラスの合格率は14%と難関だった。

今年に入り、ハーバードは政治的な攻撃にもさらされている。トランプ政権は多様性・公平性・包摂性(DEI)推進策や反ユダヤ主義への対応を巡り、連邦資金の削減をちらつかせ、留学生の米国滞在を制限しようとする動きも見せた。

ハーバード側は、そうした措置が実施されれば、2年間のプログラムを修了しようとする留学生の卒業計画が台無しになりかねないと主張している。もっともトランプ大統領は9月30日、ハーバードとの合意に向けて最終段階にあると述べたが、大学側はコメントしていない。

MBA入学コンサルティング会社パインツリー&パーム・コンサルティングの創業者オレン・マーゴリス氏は「外国人志願者の間で不安と警戒感が強まっている」と語る。「『そもそもキャンパスに行けるのか』と尋ねる志願者もいる」という。それでもハーバードの魅力は海外でもなお健在だ。

 

調査によると、米国籍以外の回答者のうち米国外の経営大学院を第一志望に挙げたのは25%にとどまった。約75%が米国のプログラムを選び、そのうち31%がハーバードを「夢の進学先」と答えた。INSEAD(インシアード)とロンドン・ビジネス・スクール(LBS)はブルームバーグの欧州・中東ランキングでそれぞれ4位と5位で、それぞれ全体の3%強を占めた。

HBSのマーケティング・広報・MBA入学担当マネジングディレクターのルパル・ガディア氏はメールで配布した声明で、同校が「依然として留学生にとって非常に魅力的であり、留学生が学生全体の約3分の1を占めている」と述べた。その上で、HBSの評判を支えているのは経営全般を幅広く学べる教育課程や9万人を超える卒業生ネットワーク、教授陣の質などだと説明した。

マーゴリス氏によると、国内外を問わず、同氏の顧客がハーバードを目指す主な理由は単純だ。「ハーバードだからだ」という。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:Harvard Business School Is Most Coveted Among MBAs Globally(抜粋)

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