米ナスダックに上場した暗号資産(仮想通貨)交換大手、ジェミニ・スペース・ステーションの株価は、9月の新規株式公開(IPO)後に得た上昇分を数日で吐き出し、IPO価格割れが続いている。アナリストは業界の競争激化と収益性の欠如を指摘し、控えめな評価にとどまっている。

ジェミニの株価は9月12日の上場初日に14%上昇した。仮想通貨を後押しするトランプ米政権とのつながりやステーブルコイン発行企業のサークル・インターネット・グループやブリッシュといった同業他社の好調な上場が追い風となった。しかし、両社とは異なり、ジェミニの株高は短命に終わり、10月7日の終値はIPO価格を約13%下回っている。

ジェミニへの市場の評価は分かれている。ブルームバーグが追跡するアナリストの投資判断は6人が「買い」相当、5人が「中立」相当となっている。

ジェミニのIPOで主幹事を務めた4行のうち、ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループ、モルガン・スタンレーの投資判断はいずれも「中立」相当で、同業他社の株高が続く中で投資家を引きつけるのは難しい状況だ。7日終値時点で、サークル株は380%、ブリッシュ株は76%それぞれ上昇している。

 

ジェミニに対する投資判断を「中立」としているシティグループのアナリスト、ピーター・クリスチャンセン氏は、ジェミニの株価が競合他社に追いつくには時間がかかると予想。 ジェミニの調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)は2027年10-12月(第4四半期)まで黒字に転じないと見込んだ。

同時に、ユーザー基盤の再構築、機関投資家との提携、黒字化への明確な道筋が確認できるまで、投資家は静観すべきだと顧客向けリポートで指摘した。

ウィンクルボス兄弟が創業したジェミニの1-6月(上半期)業績は、売上高が6860万ドル(約104億円)に対し、最終損益が2億8250万ドルの赤字となった。主な収入源は自社プラットフォームでの取引手数料で、現在はシェア拡大を狙ってマーケティング費用を増やしている。

原題:Winklevoss’ Gemini Gets Lukewarm Street Reaction After IPO Slump(抜粋)

--取材協力:Anthony Hughes.

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