(ブルームバーグ):米国とカタール、イスラエルなどの代表団が、パレスチナ自治区ガザでの紛争終結に向けたイスラム組織ハマスとの協議に臨むためエジプトに集結する。2年間に及ぶ戦闘でガザは壊滅的な状態に陥り、中東地域は不安定化した。
事情に詳しい関係者によると、イスラエルからはネタニヤフ首相の最側近の1人であるデルメル戦略問題相が率いる代表団がシャルムエルシェイクを訪れる予定だ。また、米国からはウィトコフ中東担当特使とトランプ米大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏を含むチームが交渉に参加すると、別の関係者2人が明らかにした。
カタール外務省によれば、同国のムハンマド首相兼外相が8日にシャルムエルシェイクに赴く予定。さらに、トルコ国家情報機構(MIT)のカルン長官も現地に向かっていると国営アナドル通信が伝えた。
エジプト入りする高官の多さから、各国の指導者が合意の成立は近いと考えていることがうかがえる。トランプ米大統領は先週、ネタニヤフ首相と共に20項目から成る和平案を発表。その数日後、ハマスは2023年にイスラエルを奇襲攻撃した際に拘束した人質の残り全員の解放に同意した。

ただ、その後は双方の合意への本気度に懸念も浮上している。トランプ氏は両者が極めて近づいていると述べたが、ハマスの報道官ファウジ・バルフーム氏は7日、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラで放映された演説で、合意の一環として「公正な人質交換」を求めると主張した。
バルフーム氏は、エジプトで交渉中のハマス代表団は合意に向け「あらゆる障害を取り除く」ことを目指していると発言。また、合意の「最優先事項」として、恒久的な停戦とガザからのイスラエル軍の撤退を挙げた。
さらに、合意にはガザへの無条件の人道支援物資搬入、避難民の帰還保証、パレスチナ側の委員会による再建の即時着手の許可も含まれるべきだと述べた。
一方、トランプ氏は7日、ホワイトハウスの執務室で記者団に対し、米国チームがすでに現地入りしており、さらに第2のチームも現地に向かっていると明らかにした。米国の計画に詳しい関係者2人によれば、その第2のチームにクシュナー氏とウィトコフ氏が含まれているという。
トランプ氏は「中東に平和をもたらす可能性があると思う。ガザの状況を超える何かだ」と指摘。「他の国々、文字通り世界中の全ての国がこの計画を支持している。私の知る限り反対している国はない。本当に何かを成し遂げられる可能性がある」と語った。
ハマス側が全ての条件が満たされるまで人質解放に応じない意向を示唆したのかどうかは分かっておらず、合意の早期妥結は依然として不透明だ。イスラエル政府の報道官は、交渉の進捗(しんちょく)状況について現時点ではコメントしていない。

原題:Senior Officials to Gather in Egypt for Final Push for Gaza Deal(抜粋)
--取材協力:Sherif Tarek、Dan Williams、Fares Alghoul、Josh Wingrove.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.