(ブルームバーグ):ベンチャーキャピタル(VC)は今年これまでに人工知能(AI)スタートアップに1927億ドル(約28兆4000億円)を投資し、世界記録を更新した。調査会社ピッチブックのデータで明らかになった。2025年は、VC資金の半分以上がAIに振り向けられる初めての年になる見通しだという。
アンソロピックとxAIがそれぞれ巨額の資金を調達するなど、資金の大半は既に地位を確立したスタートアップに向かっている。一方、知名度の低い一部の新興企業は苦戦しており、特にAIに特化していない企業でその傾向が顕著だ。新規株式公開(IPO)やM&A(企業の合併・買収)を巡る厳しい環境が尾を引き、実績のない企業への新規投資を避けるVCもあると、ピッチブックは指摘する。
ピッチブックの調査ディレクター、カイル・サンフォード氏は「どこを見ても市場は二極化している」とし、「AIに関連しているか否か、大手かそうでないかだ」と語った。
直近の四半期では、米国のVC投資額の62.7%がAI企業に振り向けられ、世界全体でも53.2%がAI関連に投じられた。
今年これまでのVC投資は総額3668億ドル。うち米国は2502億ドルで、全体に占める比率が高まっている。
一部のAI企業が巨額の資金を集める一方、スタートアップ全体の状況は厳しい。25年に世界でVCから資金を確保する企業数は、数年ぶりの低水準となる見込みで、新たに資金を募るVCの数も同様に低調だ。
ピッチブックのデータによると、世界全体では今年これまでに823のVCファンドが合計800億ドル超を調達。4430のVCファンドが約4120億ドルを集めた22年から大幅に減少している。
サンフォード氏は、VCファンドの出資者やVCのパートナーは「投資先をこれまで以上に慎重に選んでおり、焦点をAIに合わせている」と述べた。
原題:AI Is Dominating 2025 VC Investing, Pulling in $192.7 Billion(抜粋)
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