10月第2週(6-10日)の日本株は堅調に推移する見通し。自民党の総裁が決まり、政治を巡る不透明感の後退や景気刺激策への期待などが相場の支えになる。

株式市場は総裁選への期待を前のめりで織り込んできたため、結果によっては一時的な調整を見込む声もある。それでも滞っていた政策運営が動き出すことはポジティブに受け止められそうだ。今後は野党との連携や具体的な景気対策の中身を見極める展開になる。

米国の利下げ観測も引き続き相場を支える見通し。7日にはアトランタ連銀総裁が参加する討論会やミネアポリス連銀総裁の講演がある。追加利下げの見通しが補強されれば、米ハイテク株が堅調に推移し、国内の人工知能(AI)関連にも追い風になりそう。

一方で米国の政府機関閉鎖が長期化するとの見方が強まれば、投資家心理の悪化につながり得る。連邦職員への給与支給が滞り、米景気を下押ししかねないためだ。

国内では小売企業の決算が本格化する。9日にファーストリテイリングとセブン&アイ・ホールディングス、10日に良品計画が予定する。個人消費の堅調さが確認されれば、相場にプラスとなる。

国内の景気や金融政策の行方を占う統計も相次ぐ。6日に日本銀行が地域経済報告(さくらリポート)を公表し、8日に8月の毎月勤労統計が発表される。7月の実質賃金は7カ月連続で前年比マイナスだった。

第1週の東証株価指数(TOPIX)は週間で1.8%安と2週ぶりに反落。配当権利落ちや、9月までの相場上昇を受けた国内機関投資家による期初の利益確定売りなどが重しになった。

《市場関係者の見方》

りそなアセットマネジメントの下出衛チーフストラテジスト

自民党総裁選への株式市場の反応は限定的ではないか。候補者間の対立色は強くなく、誰になってもある程度は野党との連携も見込まれ、政局が混沌(こんとん)とするイメージはない。米政府機関が閉鎖されて重要経済指標の発表が延期されることで、投資家はリスクを取りやすい面があり、相場は堅調に推移する可能性もある。一方で市場は過去に問題がなかったからといって、政府閉鎖のリスクを過小評価している印象だ。

岡三証券の大下莉奈シニアストラテジスト

株価指数はしっかりとした推移を見込む。総裁選の結果によっては少しボラティリティーが高まる場面はあろうが、イベント通過で市場の焦点は期待感のある企業決算に移る。10日発表のローツェなど半導体関連の業績動向も注目されそうだ。

--取材協力:我妻綾.

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