(ブルームバーグ):野村ホールディングス(HD)は、日本で法人向けの暗号資産(仮想通貨)取引事業を開始する計画だ。規制改革への期待感が高まる中で、取引高が数十兆円規模に上る国内市場に参入する。
野村HD子会社のレーザー・デジタル・ホールディングスは、日本の金融機関など法人顧客向けにサービスを提供するため、金融庁に暗号資産交換業者として登録を申請する準備を進めている。同社の最高経営責任者(CEO)ジェズ・モヒディーン氏が書面で明らかにした。スイスを拠点とする同社は現在、金融庁と事前協議しているという。
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)のデータによれば、証拠金取引を含めた日本の暗号資産取引額は、今年1-7月に前年同期比で倍増し、約33兆7000億円に達した。
世界のデジタル資産市場を刺激するトランプ米大統領の政策や、日本国内で税制改正や暗号資産を組み入れた上場投資信託(ETF)の解禁が予想されるといった動きが市場の追い風となっている。
モヒディーン氏は、レーザー・デジタルは、日本で「予想される変化を最大限活用する準備を進めている」と述べ、「日本参入は同国のデジタル資産エコシステムに対する当社の楽観的な見方を反映したものだ」と強調した。
同氏によれば、登録が認められれば、同社は「ブローカー・ディーラー」として、日本で金融機関や暗号資産取引業者などを対象に業務を開始する予定だとしている。
国内では暗号資産が徐々に浸透している。大和証券グループ本社は1日、大和証券の全国の本支店で、顧客がビットコインとイーサリアムを担保に円資金を借りることができるサービスを開始した。
野村HD傘下のレーザー・デジタルは2022年に設立され、幅広いデジタル資産サービスを提供している。23年にはドバイで暗号資産ビジネスのフルライセンスを取得し、日本に現地法人も設立した。
野村HDの森内博之財務統括責任者(CFO)は今年7月の4-6月(第1四半期)の決算会見で、同社の欧州事業が赤字となった一因はレーザー・デジタルの不振にあったと説明していた。
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