各国の中央銀行が利下げを続けているため、「魅力的な債券利回り」の確保が投資戦略として有効だろうと、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が指摘した。債券のリターンは現金を上回るとみている。

ピムコが公表した定期見通しに執筆したエコノミストのティファニー・ワイルディング氏と、グローバル債券部門のアンドリュー・ボールズ最高投資責任者(CIO)は、「現金同様の投資商品の金利は、中銀の政策金利とともに低下する公算が大きい。債券のパフォーマンスが上回ると予想している」との見方を示した。

「現在の魅力的な債券利回りを確保しておけば、今後数年間のさまざまな経済シナリオで、強力なリターンと収入をもたらしてくれる」とも記した。

ブルームバーグ米国債券総合指数が年初来で6%を超える上げとなるなど、米国債は今年これまでの全ての四半期で上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に利下げを再開する中で、短期物の米国債利回りは今年最低の近辺にある。

米金融当局者は高止まりするインフレと雇用悪化の兆しの中で慎重にバランスを取る姿勢を崩していないが、市場では来年1月まで米国で少なくとも2回の0.25ポイント利下げがあると見込まれている。

ピムコは今回の見通しの中で、米国にとって「関税による主なリスクは価格調整ではなく、失業率の上昇だ」と警告。「米国やその他各国の中央銀行には、追加利下げの余地が十分にある」と論じた。

世界経済の成長については、「関税が引き金となり」、今年は減速すると予想した。

6月末時点の運用資産が2兆1100億ドル(約310兆円)に上っていたピムコは、今年の債券利回りの変動にうまく対応してきた。運用資産1980億ドルの主力のインカム・ファンドは年初来で8.4%のリターンを記録。同種の96%のファンドを上回り、世界最大のアクティブ運用債券ファンドとなっている。450億ドル規模のトータル・リターン・ファンドも7.5%のリターンで、やはり同業の96%に勝っている。

ピムコのダニエル・アイバシン最高投資責任者(CIO)は9月に行われたブルームバーグとのインタビューで、今年の好調をけん引した米国債の利回り曲線のスティープ化を見込む取引について、エクスポージャーを減らしていると述べていた。

今回の見通しでも、米国債の「利回り曲線はスティープ化の方向だが、確度は後退した」とし、利回り曲線に変化があるとすれば、「長期債の下落によるベアスティープではなく、短期債の上昇によるブルスティープ」が要因となる公算が大きいとの見方を示した。

また、デュレーションが長い債券のオーバーウエートを維持しているが、「今年前半と比べ、角度はやや低下した」と説明。

「年初から債券は堅調に推移してきたにもかかわらず、米10年債利回りは依然として過去数年の基準レンジである3.75%-4.75%の範囲内にとどまっている」と指摘した。

世界の優良債券の発表利回りは依然高く、「5-7%程度のリターンが見込めるポートフォリオ構築が投資家は可能」だという。

米国市場については、「中立金利の見通しに一致する3%近くの政策金利を織り込んでいるが、トランプ政権が連邦準備制度理事会の指導部を一新する可能性が主要なリスク」とし、米国の見通しに対するリスクも踏まえて「ドルへのアンダーウエート継続を支持」するとした。

原題:Pimco Says Bond Returns Set to Outpace Cash Due to Rate Cuts(抜粋)

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