トランプ米政権は、自閉症を抱える人が政府の「ワクチン健康被害補償プログラム(VICP)」で補償を受けられるようにすることを検討している。政権のアドバイザーが明らかにしたもので、実現すれば制度の根幹を揺るがしかねない。

この制度は1980年代にワクチンメーカーに対する訴訟が相次ぎ、メーカーが市場から製品を撤去して供給不足に陥ったことを受けて88年に創設された。

ワクチンメーカーを訴訟から守る一方、対象のワクチンで重い副反応を起こした人に補償金を支払う仕組みだ。創設以来、計約50億ドル(約7500億円)が支給されてきた。

ケネディ厚生長官は以前から、補償が過少で、制度を利用しにくいとVICPを批判してきた。同長官には補償対象範囲を見直す権限がある。

ワクチン健康被害訴訟が専門の弁護士でケネディ氏の顧問を務めるアンドリュー・ダウニング氏は25日、首都ワシントンで開かれたイベントで「われわれのチームがそれを検討している」とし、自閉症の「子どもたちをどう取り込むかを考えなければならない」と語った。

自閉症とワクチンの関連を主張し続けるケネディ氏は、訴訟を提起する反ワクチンの非営利団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」の会長を務めたこともある。VICPの制度変更は、ワクチンと自閉症を結び付けようとする新たな試みとなる。

実際に変更されれば、VICPには申請が殺到して処理が滞る恐れがある。米国で自閉症の子どもの割合は31人に1人程度とされる。VICPでは通常、医療費や将来の逸失利益、慰謝料最大25万ドルが支給される。

原題:RFK Jr. Mulls Adding Autism Symptoms to Vaccine Injury List (2)(抜粋)

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