(ブルームバーグ):8月の米新築住宅販売は予想外に急増し、2022年初め以来の高水準となった。経済の先行き不安が残る中、住宅建設業者による積極的な値引きや販売インセンティブが購入意欲を後押ししたとみられる。
新築住宅の需要急増は、市場で過剰気味だった在庫の大幅な減少にもつながった。8月末時点の新築住宅在庫は49万戸と、今年に入って最も少ない水準となった。
このデータは、住宅建設業者が積極的な販売インセンティブによって購買意欲を引き出すことに成功していることを示している。全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが16日に発表した9月の調査では、値下げを実施したと報告した住宅建設業者は全体の39%と、新型コロナ禍後の最高を更新した。

住宅建設大手のレナーは最近、平均販売価格の14.3%に相当する販売インセンティブを提示しており、通常の5-6%の2倍余りに相当すると、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナリスト、ドルー・リーディング氏はリポートで指摘した。
新築住宅販売のデータは契約ベースで集計されるため、実際の引き渡しから少なくとも1カ月前の動きを反映している。今回の統計は、足元で進んでいる住宅ローン金利の低下傾向を捉えた初期の動きでもあり、現在のローン金利は1年ぶりの低水準にある。
もっとも、住宅建設業者は8月の販売増にもかかわらず、依然として苦戦を強いられている。高価格と高金利で多くの消費者が購入に踏み切れず、労働市場の先行き不安が買い控えの一因となっている。
新築住宅価格の中央値は41万3500ドル(約6100万円)。販売ペースが加速したため、中央値が年率ベースで今年2度目の上昇となった。100万ドルを超える物件に対する需要が押し上げた。一方、低価格帯の物件では取引は減少した。
地域別では、最大の住宅販売地域である南部での販売が2021年3月以来の高水準となり、他の3地域でも販売件数は増加した。
新築住宅販売は契約完了時点で集計される中古住宅販売よりも、足元の市場動向を反映しやすいとされるが、月次ベースでは変動が大きい。
全米不動産業者協会(NAR)は25日に8月の中古住宅販売件数を発表する予定。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US New-Home Sales Unexpectedly Jump Over 20% in Broad Advance(抜粋)
(統計の詳細を加え、更新します)
--取材協力:Chris Middleton、Mark Niquette.
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