ウォール街のアナリストたちが、S&P500種株価指数の見通しを相次いで引き上げている。堅調な企業業績と人工知能(AI)への再び高まる期待感を背景に、株価は記録的な上昇を続けている。

ドイツ銀行のストラテジスト、ビンキー・チャーダ氏は、S&P500の年末目標を7000に引き上げた。現水準から7%超の上昇を見込む水準となる。バークレイズのアナリストも予測を引き上げており、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのチームは、来年末までに11%の上昇を予想している。

ウェルズ・ファーゴのチーフ株式ストラテジスト、オースン・クウォン氏は「過熱感はあるが、AI関連の設備投資が維持される限り、強気相場は続くだろう」と述べた。

米国株はここ数カ月、経済の堅調と連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が追い風となり上昇基調が続いている。9日には過去最高値で取引を終え、年初来の上昇率は11%に達した。ハイテク株の比率が高いナスダック100指数は13%上昇している。

ストラテジストは、一時はトランプ米大統領の関税政策で予測を下方修正していたが、その後に強気に戻っている。

ドイツ銀のチャーダ氏は、関税の直接的な影響のうち約半分は既にインフレに反映されていると指摘。また、投資家のポジショニングや予想を上回る経済成長、ドル安も株式相場の支援材料になると述べた。

バークレイズのストラテジスト、ヴェヌ・クリシュナ氏は、企業業績の改善と世界経済の成長安定を理由に、S&P500の2025年末の目標を従来の6050から6450に引き上げた。予想の水準は9日の終値から1%の下落となるが、来年については、上昇基調が続き7000に達するとみている。

「マクロ環境には逆風があるが、良い面もあると楽観的に考えている」と同氏はリポートに記している。

ドゥブラフコ・ラコスブハス氏らJPモルガン・チェースのストラテジストも、S&P500が2026年初めには7000まで上昇するとの見通しを示している。

ただ、短期的には最大8%下落する可能性があるとも指摘。利下げ期待が行き過ぎており、株式への投資比率も高水準にあることから、短期的には現在の水準から4.8~7.9%安い6000-6200のレンジまで下落する可能性があると予想している。

原題:S&P 500 Faces Potential Pullback of Almost 8%, JPMorgan Warns、Strategists Race to Lift S&P 500 Targets on Earnings, AI Boom(抜粋)

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