(ブルームバーグ):世界の債券市場は3日、再び売り圧力にさらされている。インフレ懸念や国債増発、財政規律を巡る不安が、かつては安全資産と見なされていた債券への投資家の信頼を揺るがしている。
日本の20年債債利回りは1999年以来の高水準に上昇。オーストラリアの10年債利回りも、7月以来の水準まで上昇した。米国債の利回りも上昇し、30年債は節目と目される5%に迫った。
2日に英国の30年債利回りが1998年以来の高水準に達した流れがアジア市場にも引き継がれている。一連の売りは、各国の財政支出の拡大と、それに伴う世界的なインフレ圧力への懸念を市場が強めていることを示している。
2日には企業の大型起債が相次いだことも国債市場の重しとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性に関する不透明感もマイナス要因だ。
野村ホールディングスのストラテジスト、アンドルー・タイスハースト氏(シドニー在勤)は「財政赤字や債務の問題は、簡単にも迅速にも解決できない」と述べた上で、「イールドカーブの急傾斜化が新たな常態になりつつある」と語った。

ブルームバーグが算出する世界債券リターンの指数は、2日に0.4%下落し、1日として6月6日以来の大幅下落を記録した。年初来ではなお上昇しているものの、足元の下落は、長期債保有に対する市場の神経質な姿勢が続いていることを浮き彫りにしている。
期間10年超の政府債を対象とするブルームバーグの世界指標における最終利回りは、2009年7月以来の高水準に達した。
長期債の売りが進む中で、長短金利差拡大を見込むいわゆるスティープナー取引の需要が高まっている。
ブラックロック・インベストメント・インスティチュートのウェイ・リ氏らストラテジストは、米国の30年債利回りが上昇し2年債利回りが低下する状況について「投資家が長期債保有の対価として、より高い補償を求めていることを反映している」と解説した。
原題:Global Bond Selloff Deepens With Longer Debt Leading Losses(抜粋)
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