(ブルームバーグ):米国の大手マーケットメーカー各社の好調な業績は、収益性の高いウォール街のトレーディング事業を巡る急速な変化を浮き彫りにした。
米自己勘定トレーディング会社ジェーン・ストリート・グループの4-6月(第2四半期)純トレーディング収入は、101億ドル(約1兆5000億円)に到達。同四半期のJPモルガン・チェースの実績を上回った。
ハドソン・リバー・トレーディングの4-6月期純トレーディング収入は、前年同期比2倍超の26億ドルとなった。シタデル・セキュリティーズの同収入は、上期(1-6月)としては過去最高の58億ドルを記録している。
3社のトレーディング収入は今年上期、合わせて300億ドル近くに達した。トランプ米大統領の関税措置を受けた市場のボラティリティー(変動性)が追い風となった。
JPモルガンとゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー3行のトレーディングデスクが記録した480億ドルには届かないものの、その差は縮まりつつある。
ノンバンク系の流動性供給企業は、2008年の金融危機以降にリスクの高い取引を制限された銀行からビジネスを奪おうと、技術や人材に投資し事業を急拡大させてきた。
ジェーン・ストリート、シタデル・セキュリティーズ、ハドソン・リバー・トレーディングはいずれも非上場企業で、銀行に比べ規制による監視は緩やかであり、自社資本を使ってより大きなリスクをとることが可能だ。
自己勘定取引業者を調査するアルファクションのポール・ロウディ氏は、「世界的な金融危機をきっかけに勢力図が塗り替えられた」と指摘。新たな勢力は「大手投資銀行がもはや太刀打ちできないほどの技術的・数学的なデータ面での強みを持つ」と説明した。
マーケットメーカー各社の担当者はいずれも業績についてコメントを控えた。

原題:Jane Street, Citadel Securities Cement Sway With Trading Hauls(抜粋)
--取材協力:Paula Seligson.
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