3日の債券相場は超長期債が大幅安。新発30年国債利回りは過去最高を更新した。財政悪化懸念を背景に米国や欧州で長期金利が上昇したことに加えて、国内政治への警戒感が高まっている。

りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは「世界的に財政インフレが課題になり、グローバルにスティープ(傾斜)化圧力がかかっているほか、4日の30年債入札、自民党の政局不安定とどれも超長期債に向かい風となっている」と指摘。自民党で臨時総裁選実施の賛否を巡る意思確認が行われる8日までは積極的にリスクを取りにくく、スティープ化が進むとの見方を示した。

世界各国の債券市場で、政府支出の増加とインフレ懸念から超長期や長期金利が上昇している。2日には英国の30年物国債利回りが98年以来の高水準に達し、政治的な混乱が財政再建に歯止めをかけるとの懸念がくすぶるフランスでは同利回りが2011年以降で初めて4.50%を上回った。米国の30年物国債利回りも一時5%に迫り、7月下旬以来の高水準を付けた。

国内でも自民党の森山裕幹事長の辞意表明を受けて、政局流動化や将来的な財政拡大への懸念が強まっている。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「米欧市場で財政不安が債券売りにつながっており、日本も似たような構図になりつつある」と指摘。「欧米財政不安が出ている上、自動車関税の引き下げも実現できていない状況」での政局に「不安定な債券市場は戸惑う」と話す。

三菱UFJアセットマネジメント債券運用第二部の小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーも、国内政局の不確実性を背景に債券は売られやすいとし、財政拡大の方向が変わらないと金利はなかなか下がらないとの見方を示した。

4日には30年国債入札が実施される。りそなAMの藤原氏は、自民党の臨時総裁選の是非が明らかになる8日までリスクを積極的に取る投資家はいないため、「普通に考えれば見送りで厳しい入札になる」と予想した。

日銀買い入れオペ

日銀は3日、定例の国債買い入れオペを実施。対象は残存期間1年以下、1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下で、買い入れ額はいずれも前回から据え置いた。オペ結果によると、1年超3年以下と10年超25年以下の応札倍率が前回から上昇し、需給の緩みが示された。

--取材協力:清原真里.

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