中国の富裕層がより高い利回りを求め、「スノーボール(雪球)」型デリバティブ(金融派生商品)に再び資金を投じている。1年前に当局がこの商品を取り締まった際には、株式相場下落を悪化させた原因の一つとされていた。

低金利が続く中、今年に入ってから改良版スノーボール型デリバティブが数百億元規模で富裕層に買われている。事情に詳しい関係者によれば、招商銀行は、複数の証券会社が発行した同様の商品を単独で300億元(約6200億円)以上販売したという。

中国国際金融(CICC)によると、最新のスノーボール型商品は従来よりもリスクが抑えられているとされるが、それでも年率20%程度のリターンを掲げる商品が大半を占める。市場データによれば、まれに年71%の利回りを示す商品も存在するという。

株式相場が急落していたにもかかわらず、証券会社がスノーボールの記録的なリターンを宣伝していたことから、当局は昨年、個人投資家の過熱を抑える目的で規制に乗り出した。それから約1年を経た今、「準スノーボール」と呼ばれる商品が活況を呈している。

利回りの高い投資先が乏しい中、中国当局が景気下支えのために金利を引き下げた影響も、この流れを後押ししている。

証券監督管理委員会(証監会)はコメント要請に応じなかった。招商銀行もコメントを控えた。

スノーボール型商品は、参照する株価指数があらかじめ定められた範囲内(通常はスタート時の75-105%)にとどまっている限り、投資家に債券のようなクーポンを提供する仕組みとなっている。

範囲の下限を下回ると「ノックイン」が発生し、指数の下落幅に応じた損失が発生する可能性がある。一方、相場が上昇して「ノックアウト」水準に達すると、契約が終了し、保有期間に応じたクーポンが支払われる。

原題:China’s Rich Return to Risky ‘Snowball’ Derivatives for Yields(抜粋)

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