(ブルームバーグ):中国からの月間の資本流出が7月に過去最大となった。新たな市場開放策を受け、中国本土の投資家が香港資産への投資を積極的に進めたことが背景だ。
中国の国家外為管理局(SAFE)が15日遅くに公表したデータによると、中国の国内銀行は7月、顧客による証券投資を目的とした資金として、差し引きで583億ドル(約8兆5900億円)を海外に送金した。これは、統計が開始された2010年以降で最大の月間流出額となった。
こうした資本流出の急増は、中国本土の投資家による香港株式の積極的な買いに加え、いわゆる南向きの「南向通」の投資枠拡大によって海外債券への投資が拡大したことが一因とされる。一方で、よりリスクの高い資産や世界的な代替資産と比較して相対的な魅力が薄れたことなどを理由に外国人投資家は中国国債の保有を引き続き減らしている。
中国は今年、ドル安環境を活用して資本取引の自由化を段階的に進めようとしており、一定の資本流出を容認する見通しだ。これは、人民元の国際化を長期的に後押しする措置で、6月には、当局が認可投資家に対して、海外資産への投資枠を1年強ぶりに拡大した。
ING銀行の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は、「国内投資家がリスク選好の高まりを背景にポートフォリオの見直しを進めている」とし、今年は認可チャンネルを通じた対外投資の拡大が続くと指摘。資本流出は当初は人民元を圧迫するように見えるかもしれないが、米利下げ観測や米中利回り格差の縮小により、実際のリスクは抑制される可能性が高いと述べた。
原題:China’s Capital Outflows Hit Record Amid Liberalization Push (1)(抜粋)
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