(ブルームバーグ):人工知能(AI)向けクラウドサービスを手がける米コアウィーブのIPO(新規株式公開)に絡むロックアップ期間が終了した。保有株の売却を制限する同期間が終わったことで、初期投資家の多くに現金化の機会が訪れている。IPO価格の2.5倍を付けている同社株について、アナリストからは大規模な利益確定売りを予想する声も出ている。
コアウィーブのクラスA株を80%超相当保有する投資家らは15日から売却できるようになった。12日発表された4-6月(第2四半期)決算後の2日間で同社株は33%下落。アナリストは大量の売却を見越した動きが一因だと指摘している。
株主であるラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)は「大規模な売りが出る可能性があると予想するのは合理的で、すでに株価は圧迫されている。長期的には流動性が高まることにつながる」と語る。
ブルームバーグの集計データによると、市場で取引可能なコアウィーブ株は発行済み株式の15%未満にとどまり、S&P500種株価指数の構成銘柄の平均である約95%と比べて著しく低い水準となっている。
マイクロソフトを最大の顧客に抱えるコアウィーブの時価総額は6月に880億ドル(約13兆円)を記録。上場直後の200億ドル未満から急拡大したが、赤字経営や全額株式交換により暗号資産(仮想通貨)マイニング(採掘)大手の米コア・サイエンティフィックを買収することで合意したことへの懸念から株価は下落基調にある。

DAデビッドソンのギル・ルリア氏はブルームバーグが対象とするアナリストのうち、「売り」相当の投資判断を付与している3人の1人。コアウィーブ株には60%超の下落余地があるとみており、目標株価を36ドルに設定している。
コアウィーブ出資者の一角である米エヌビディアは売却には動かないとみられる。ブルームバーグがまとめたデータによれば、同社は6月末までの四半期にコアウィーブ株の保有をわずかに増やし、持ち株比率は約6.5%となっている。
AI開発競争で大手のハイテク企業は巨額の投資を続けており、コアウィーブの長期的な事業見通しはなお有望だという見方もある。
同社は12日、通期の売上高見通しを51億5000万-53億5000万ドルに引き上げた。一方で、4ー6月の純損失は市場予想を上回り嫌気された。
原題:CoreWeave IPO Investors Sitting on Big Gains Get Chance to Sell(抜粋)
--取材協力:Subrat Patnaik、David Watkins.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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