米アマゾン・ドット・コムはポッドキャスト事業の再編に伴い、傘下の制作スタジオ「ワンダリー」の独立運営を終了する。

事情に詳しい関係者によると、この動きにより約110人が解雇される。また、ブルームバーグ・ニュースが確認した社内文書によれば、ワンダリーのジェン・サージェント最高経営責任者(CEO)も退社するという。

ワンダリーの既存のポッドキャスト番組は、アマゾン傘下のオーディオブック事業「オーディブル」に移管されるか、新たに設ける「クリエーターサービス」チームに統合される。この新チームにはパーソナリティー主導型の番組が集約され、その一部はワンダリーブランドを引き続き使用するという。

アマゾンはポッドキャストブームが最高潮に達していた時期である2020年にワンダリーを買収。当時の報道によれば約3億ドル(現在の為替レートで440億円)を支払ったという。買収後もワンダリーは独立運営が認められ、独自のサブスクリプションアプリを運用してきた。

今回の再編は、アマゾンによるポッドキャスト分野への大規模投資が期待通りの成果を上げなかったことを示すものだ。音声中心から動画への移行が進むポッドキャスト市場でスポティファイ・テクノロジーやユーチューブなどに対抗しようと、アマゾンは戦略の転換を進めている。

アマゾンのオーディオ・Twitch(トゥイッチ)・ゲーム担当バイスプレジデント、スティーブ・ブーム氏は社内文書で、「この数年でポッドキャストの世界は大きく様変わりした」と述べ、「動画の台頭により、ポッドキャストクリエイターの概念もあいまいになった」と指摘した。

同文書によると、有料サブスクリプションサービス「ワンダリープラス」のチームはオーディブルの傘下に入る。ドラマシリーズ「ドクター・デス」などで知られるワンダリーのストーリーテリングスタジオ部門もオーディブルに統合され、ワンダリーの最高コンテンツ責任者、マーシャル・ルーイ氏はオーディブルで新たな役職に就く予定。

アマゾン・ドット・コムがポッドキャストスタジオのワンダリーを再編

原題:Amazon to Cut Wondery Staff, Reorganize Audio Business (1)(抜粋)

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