2025年度の最低賃金の目安は全国平均で時給1118円と、昨年度から63円引き上げられた。引き上げ額は過去最大を更新した。

中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が4日に答申を取りまとめた。厚労省によると、引き上げ率は6.0%と、前年度の5.1%(51円)を上回った。今後は各地方での調査審議を踏まえ、都道府県の労働局長が地域別の最低賃金額を決める。目安通りに改定されれば初めて全都道府県で時給1000円を超える。

今年の春闘の平均賃上げ率は5.25%と34年ぶりの高水準となった。好調な春闘を反映して賃金の基調は改善傾向にあるものの、物価変動を反映させた実質賃金は5月まで5カ月連続で前年を下回っている。国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費が力強さを欠く中、社会全体としての賃金の底上げは喫緊の課題だ。

石破政権は20年代に最低賃金を全国平均1500円まで引き上げる目標を掲げている。「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5カ年計画」によれば、最低賃金の引き上げにより影響を大きく受ける飲食や宿泊、運輸など12業種の「省力化投資促進プラン」を策定・実行。29年度までの5年間で60兆円程度の生産性向上投資を行う。

最低賃金は使用者が労働者に支払わなければならない最低限の賃金で、金額は毎年度見直される。現行の全国平均は時給1055円となっている。

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