鴻海精密工業は4日、米オハイオ州の電気自動車(EV)工場を3億7500万ドル(約553億円)で売却することと明らかにした。同社は事業の軸足を、米国工場での人工知能(AI)サーバー組み立てに移そうとしている。

AI向け半導体大手の米エヌビディアの主要なサーバー生産パートナーである鴻海は、同日証券取引所に提出した届け出で、土地と設備を含む工場をクレセント・デューンに売却するとしている。

別途発表した声明では、鴻海がこの施設を引き続き利用する考えを示したが、詳細は明かさなかった。匿名を条件に語った関係者によると、同社は今後もこの工場を稼働させ、自社のAIサーバー製造拠点として活用する計画だ。同社は、売却による収益は米国内に再投資するとしている。

鴻海は2022年、経営難に陥っていたローズタウン・モーターズからこのオハイオの施設を取得したが、その後、EV関連事業は行き詰まった。一方で、米国の大手テック企業がAIインフラに数千億ドル規模の投資を行うようになり、鴻海もその恩恵を受けている。

トランプ米大統領が高度製造業を米国内に回帰させる政策を推進する中、鴻海はエヌビディアや米アップル向けに、米国でのAIサーバー組立体制を拡充してきた。エヌビディアも今後数年で、AIインフラを最大で5000億ドル相当を米国で生産する計画で、そのパートナー企業の一つが鴻海だ。

鴻海の広報はコメント要請のメールに返答しなかった。

原題:Nvidia Partner Hon Hai to Expand AI Server Assembly in the US(抜粋)

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