(ブルームバーグ):8月第1週(4-8日)の債券市場では長期金利が低下傾向をたどる見込み。日本銀行の植田和男総裁が早期利上げに慎重な姿勢を示したことを受けて買われた流れが続く。ただ、公表される金融政策決定会合の主な意見で前向きな声が出る可能性もあり、金利の低下幅は限定的となりそうだ。
市場参加者の見方
◎SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジスト
- 植田総裁の会見を受けて債券が買われているのを見ると、日米関税交渉が合意し、日銀が利上げに向けてタカ派化すると見込んでいた向きが多かったようだ
- 10月利上げの可能性は十分意識しなければならないので、どこかで再び売りが優勢になることに警戒は必要だが、目先の長期金利は若干低下傾向が続くとみる
- 米国で雇用統計が弱めの数字になり9月利下げ期待が高まって長期金利が低下すれば、日本の長期金利にも低下圧力が加わりそう
- 一方で、決定会合の主な意見でタカ派的な意見が散見される可能性もあり、金利低下を深追いしない方がいい
- 新発10年国債利回りの予想レンジは1.51-1.57%
◎全国信用協同組合連合会(全信組連)の山下周チーフエコノミスト
- 長期金利は横ばいを予想するが、リスクとしては金利上昇方向をみている
- 米雇用統計が強い数字になれば米長期金利が上昇し、日本の長期金利にも上昇圧力になる
- 円が1ドル=150円台に下落しており、蓄積した円ポジションの解消を巻き込んで一段と円安が進むリスクもある
- 円安は日銀の利上げを早める方向に働く上、主な意見でタカ派的な声が多く出る可能性がある
- 自民党の両院議員総会を控え、石破首相の退陣や財政拡大を意識して買いづらい面もある
- 新発10年国債利回りの予想レンジは1.52-1.6%
国債入札
日銀買い入れ
主な材料
- 5日:日銀金融政策決定会合議事要旨(6月16・17日分)
- 6日:6月の毎月勤労統計
- 8日:日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30・31日分)
- 8日:自民党が両院議員総会を開催
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