半導体の受託生産最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の米国預託証券(ADR)が台北上場株に対し、約16年ぶりの割高水準となっている。人工知能(AI)を巡る熱狂が過熱しているとの懸念が再び強まっている。

ブルームバーグがまとめたデータによると、TSMCのADRは7月、台北市場の株価を平均で24%上回る水準で取引された。4月の17%や過去10年間の7.4%を上回る開きだ。

TSMCのADRは長年にわたり台北上場株より割高で推移してきたものの、月間の価格差がここまで広がったのは2009年4月以来。

投資調査会社ゼロワンのエグゼクティブディレクター、ビンセント・フェルナンド氏は、「TSMCが世界のAIサプライチェーンで極めて重要な役割を果たしているとの投資家の認識が高まり、米市場の参加者によるADRの需要が大幅に増加している」と指摘。その上で「ADRに新規発行の余地が限られている」ため、価格差拡大につながっていると説明した。

アカディアン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、オーウェン・ラモント氏によれば、価格差の拡大は警戒すべきシグナルだ。「人気ハイテク株のADRが原資産の株式を上回る価格水準で取引されているのは、米市場が過熱している兆候だ」という。

原題:TSMC Stock Price Dislocation Reaches Widest Level in 16 Years(抜粋)

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