(ブルームバーグ):来週の円相場は下落基調が続く見込みだ。日本銀行の植田和男総裁が金融政策決定会合後の会見で早期の利上げに慎重な姿勢を示したことが円売り圧力になる。
◎三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリスト
- 利上げ期待を高めた経済・物価情勢の展望(展望リポート)から一転し、植田総裁の会見は全く異なるトーンとなって円安要因と受け止められた
- 日米関税交渉が合意し不透明感がある程度晴れたことを受け、日銀が利上げに向けてのろしを上げると期待した円買いの反動が起きている
- 日銀会合の主な意見が多少揺り戻しのきっかけになるかもしれないが、月初で少額投資非課税制度(NISA)絡みの円売りが出やすいこともあり、円安の流れが続くだろう
- ただ、米雇用統計が悪い数字になれば9月の米利下げを急速に織り込み、ドル安要因になる可能性もある
- 予想レンジは1ドル=148-153円
◎みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト
- 日米関税合意にもかかわらず植田総裁の会見では利上げに向けた意欲が示されず、足元の円安を気にするそぶりも全くなかった
- 米雇用統計が堅調な結果になれば一段とドル高に振れるリスクもあり、米国経済が大きく崩れない限り円が最も売られやすい
- 自民党の両院議員総会が石破茂首相の辞任につながるようだと、政局不透明感の長期化や高圧経済を掲げる高市早苗氏の首相就任期待の高まりから円売りが加速しよう
- 予想レンジは1ドル=148-153円
来週の主な予定
- 5日:日銀金融政策決定会合の議事要旨(6月16、17日開催分)
- 6日:6月の毎月勤労統計
- 8日:日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30、31日開催分)
- 8日:自民党が両院議員総会を開催
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