米株式市場では、関税による景気後退リスクはもはや存在しないかのような楽観的な見方が広がっている。しかし、ゴールドマン・サックス・グループのチーフグローバル株式ストラテジスト、ピーター・オッペンハイマー氏はそうは考えていない。

同氏は、米政府が主要な貿易相手国と合意に達したとしても、関税が株価に大きな打撃を与える可能性があると指摘する。米国が景気後退を回避したとしても、現在の米国株のバリュエーションは依然として高水準にあり、他の市場への分散投資を続けるのが賢明だという。

オッペンハイマー氏は昨年、米国株が割高になりつつあると警鐘を鳴らし、長らく低迷していた米国外市場への資金シフトを提唱。結果的に見てそれは先見的な判断だった。

当時は人工知能(AI)ブームの絶頂期で、S&P500種株価指数が繰り返し過去最高値を更新。米利下げが目前とされ、一部のストラテジストは強気姿勢を一段と強めていた。投資家はトランプ米大統領の2期目が好景気をもたらすと確信していた。

「分散投資について最初に話をした時は、かなり懐疑的な反応が多かった」と、オッペンハイマー氏(61)はロンドンでのインタビューで述べた。

「自分たちが間違っているとは思っていなかった。そして今年1-3月(第1四半期)に米国株が実際に出遅れ始めたことで、私たちの提案は広く受け入れられた」と語った。

米国株は4月の急落以降、大きく反発したが、分散投資は成果を上げている。MSCIの世界株指数(米国を除く)は年初来で17%上昇し、S&P500種株価指数の上昇率である8.6%を上回っている。

原題:Goldman Strategist’s Call to Look Beyond US Stocks Is Paying Off(抜粋)

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