人工知能(AI)向け半導体で圧倒的シェアを占める米エヌビディアが絶え間なく成長を続けた結果、新たに幹部2人が10億ドル(約1480億円)以上の資産を持つ「ビリオネア」の仲間入りを果たした。同社のビリオネアは6人に増えた。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、新たに純資産額が10億ドルを突破したのは、コレット・クレス最高財務責任者(CFO)とセールス・マーケティング責任者のジェイ・プリ氏。いずれも今回初めて資産評価の対象となり、資産の大部分を自社株が占める。

今月に入り世界初の時価総額4兆ドル企業となったエヌビディアの株価は、28日に過去最高値を更新した。

こうしたビリオネアの誕生は、AI分野で起きている人材争奪のゴールドラッシュを象徴する。メタ・プラットフォームズやアルファベットなどの企業は、AI研究者に数億ドル単位の報酬パッケージを提示し、スケールAIやウインドサーフといったAIスタートアップからの人材引き抜きに数十億ドルを投じている。

AI研究者に提示される破格の報酬について問われた際、エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、AIラボが生み出す価値を考えれば、理にかなっているとの認識を示した。

フアン氏はワシントンで23日に開催されたAIサミットで、「私は世界のどのCEOより多くのビリオネアを自らの経営チームで生み出してきた」と語った。

エヌビディアは14日、米国の輸出規制に準拠しつつ中国向けに設計されたAIアクセラレータ「H20」製品について、米当局者から対中輸出を許可すると伝えられたと明らかにした。失われるはずだった数十億ドルの売り上げを一部取り戻せると期待される。

同社の株価は年初来で31%上昇し、2023年の年初以降の上昇率は1100%余りに達した。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、資産額1540億ドルのフアン氏(62)は最近、ウォーレン・バフェット氏を抜き、世界9位の資産家となった。エヌビディアの取締役をいずれも約30年務めるマーク・スティーブンス、テンチ・コックス、ハーベイ・ジョーンズの各氏もビリオネアに名を連ねる。

エヌビディアの広報担当者は、コメントを控えた。

原題:Nvidia’s Billionaire Ranks Expand to Include CFO, Sales Chief(抜粋)

--取材協力:Tom Maloney、Ian King.

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