(ブルームバーグ):ホワイトハウスは、トランプ米大統領の英スコットランド訪問に同行する報道陣から米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を除外すると発表した。WSJはこれに先立ち、性犯罪で起訴され勾留中に死亡したジェフリー・エプスタイン元被告に対し、トランプ氏が際どい内容の誕生日の手紙を送っていたと報じていた。
ホワイトハウスのレビット大統領報道官は声明で「高裁が確認した通り、ウォール・ストリート・ジャーナルを含むいかなる報道機関にも、トランプ大統領の執務室、大統領専用機、私的なワークスペースにおける特別な取材アクセスが保証されているわけではない」と述べた。
レビット氏は、WSJが今後、国内の移動のほか、執務室のような制限された空間での取材にも同行できなくなるかについては明言しなかった。
WSJはコメントを控えた。ただ広報担当者はこれまでに「当社の報道の厳密性と正確性には完全な自信を持っている」と話していた。
米大統領を取材する記者らで構成されるホワイトハウス記者会(WHCA)はこの措置を非難。WHCAのプレジデント、ウェイジャ・ジアン氏は声明で「報道内容を理由とする政府による報道機関への報復は、言論の自由と独立した報道を重視する全ての人々にとって憂慮すべき事態だ」と述べた。
ホワイトハウスは今年2月、AP通信がメキシコ湾から「アメリカ湾」への表記変更に応じなかったことを発端に、大統領執務室や大統領専用機といった限られた場所で大統領に取材できる記者の選定を今後は政権側が行うと発表した。
また、4月にはこれまで通信社に認めていた代表取材への参加枠を廃止すると発表。大統領執務室や大統領専用機の機内ではスペースが限られ、大統領への取材は報道陣の中から選ばれた代表が行う形式となっているが、AP通信とロイター通信、ブルームバーグ・ニュースの「プール(代表)取材」を通じた活動が大きく制約された。
なお、ブルームバーグは、スコットランド訪問の一部で同行する報道機関に含まれる見通し。
トランプ氏は先週18日、WSJの発行元であるダウ・ジョーンズと親会社ニューズ・コーポレーション、オーナーのルパート・マードック氏を名誉毀損(きそん)で米裁判所に提訴した。
原題:White House Removes WSJ From Scotland Trip After Epstein Report(抜粋)
--取材協力:Hadriana Lowenkron、Akayla Gardner.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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