22日の日本市場では超長期債が下落(金利は上昇)。参議院選挙での与党敗北で財政拡張懸念がくすぶる中、あすの40年国債入札を前に売りが優勢だった。株式は日経平均株価が続落。円は1ドル=147円台後半に下落した。

20日の参院選で自民、公明の連立与党が過半数を割り込み、衆参両院で少数与党となった。石破茂首相は21日午後の記者会見で、日本は「政治には一刻の停滞も許されない」として続投を表明。債券先物や中長期債は買われた。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストはコラムで、金融市場の注目は「石破首相の退陣論が自民党内でどの程度強まるか」だと指摘した。石破政権が続く間は消費税減税が実施される可能性は高くないとした上で、石破氏が辞職に追い込まれ、高市早苗氏のような積極財政論者が新首相に選出される場合は「自民党が消費税減税を主導する可能性も出てくる」と予想した。

債券

債券は超長期債が下落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、石破首相の続投が決まったとはいえ、政権がどこまで維持されるか不透明な状況だとし、財政への懸念がくすぶり超長期債が引き続き売られる展開だと説明した。

先物や中長期債は買いが優勢だった。SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、選挙結果が市場の予想ほど悪くなかったほか、財政や関税政策の先行き不透明感から超長期債を避ける動きの中で中長期ゾーンが選ばれているとも指摘した。

日本証券業協会が22日発表した公社債の投資家別売買動向(短期証券除く)によると、海外投資家は4-6月に2四半期連続で日本の超長期国債を購入した。買越額は約5兆200億円と過去最高を記録した。

新発国債利回り(午後3時時点)

株式

東京株式相場は日経平均株価が続落した。参院選の結果が想定の範囲内だったとの見方から買いが先行したものの、政局の先行き不透明感の強さが指数の下押し要因となった。

為替相場が前週末と比べて円高で推移する中、輸送用機器や精密機器など輸出の一角に売りが出た。医薬品やサービスも下落。半面、銀行や証券・商品先物取引、建設などの内需関連は堅調だった。

みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、選挙結果はおおむね予想通りだったため、朝方は安心感から買いが入ったが、日経平均が4万円を回復したことで利益確定売りが広がったと述べた。少数与党となったことによる政治の不安定化は相場の重しになるとした。

フランクリン・テンプルトンの投資ストラテジスト、クリスティ・タン氏は「財政の持続可能性に関する懸念が再燃し、日本のリスク資産に短期的な変動が生じる可能性がある」とリポートで述べた。消費税引き下げの見方が強まれば、グローバル投資家は日本株に対してより慎重になるだろうとも指摘した。

為替

円相場は147円台後半に下落。与党の過半数割れにより政治の混乱が続くとの見方からドル買い・円売りが優勢だった。

三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、与党過半数割れにより「中長期的に円安地合いが継続する」とみる。ただ、トランプ米政権が再びパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長に対する辞任圧力を強めていることから、ドル売り圧力も相応に強く、今週は145-150円のレンジで推移すると予想している。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:アリス・フレンチ、清原真里.

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