21日の東京外国為替市場の円相場はドルに対し上昇している。20日に行われた参院選で自民・公明の連立与党が大きく議席数を減らし、非改選を含む参院全体で過半数を割り込んだ。株式先物は小幅下落。

円は対ドルで日本時間午後に上昇幅を拡大し、一時ニューヨーク時間の18日終値比0.99%高の1ドル=147円34銭を付けた。 20日投開票の参院選を前に、通貨の先物・オプション市場ではヘッジファンドが円に対して約4カ月ぶりに弱気の見方を示していた。

石破茂首相は21日午後に行われた記者会見で、改めて続投の意思を示した。参院選について「極めて厳しい国民の審判をいただいた」とした上で、「政治には一刻の停滞も許されない」と強調。物価高や8月1日を期限とする米関税への対応などについて解決の道筋をつけるように全力で対応すると語った。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、過半数割れが小幅にとどまり、石破茂首相の続投表明もあって過度な円売り圧力は和らいだと指摘。一つの政治リスクイベントが通過した安心感も円高の背景にある半面、与党単独では政策決定が困難となり、財政拡大リスクが引き続き意識される状況は変わらないと語った。今週は145円から150円のレンジで推移すると予想した。

参院選後に自民党本部で話す石破首相 20日

ナショナル・オーストラリア銀行の為替ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は石破首相が野党の協力を一部得ながら政権運営を担う政治的に不透明感の強い局面になると予測。「不確実性は通常、少なくとも初期段階では円の支援材料となる傾向がある」との認識を示した。

ただ、「選挙結果は全般的に日本資産にとって好ましいものでなく、円が上昇する局面では下落方向に賭ける」と話している。

 

市場では参院選前の数週間にわたり、与党が選挙で苦戦すれば歳出拡大や減税の可能性が高まると懸念が広がった。円は下落圧力にさらされ、日本国債の利回りは十数年ぶりの高水準に上昇した。

トランプ米大統領が4月に貿易相手国・地域に課す上乗せ関税を発表して以降、円相場のボラティリティーが高まった。8月1日の関税発動期限を控え米国との交渉は膠着(こうちゃく)感が強く、参院選後も貿易を巡る不透明感は解消されない状態が続く。

ブルームバーグ・ストラテジストの見方:

「アジア時間の為替市場は日本の祝日の影響を受けるだろうが、先週は荒い値動きの中でポジション調整が進んでいた。このためドル買い基調は根強く残っているとみられ、円が再び150円に向かう円安基調に戻るのは時間の問題であることを示唆している」

— MLIVストラテジスト、マーク・クランフィールド、関連記事はMLIV

大阪取引所の日経平均先物(円建て)は3万9740円と、18日の通常取引終値(3万9830円)と比べ小幅下落。21日は祝日のため、日本の株式・国債市場の現物取引は休場だが、先物・オプションのデリバティブ(派生商品)については祝日取引が行われている。

原題:Yen Advances as Japan’s LDP Coalition Projected to Lose Majority、Yen Quoted Higher in Early Trade After Japan’s Upper House Poll(抜粋)

(円と株先物の水準を更新します)

--取材協力:松井玲、内田良治、Mark Cranfield、Michael G Wilson、Matthew Burgess.

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