欧州中央銀行(ECB)はトランプ米政権の関税措置による経済へのリスクを見極めるため、今週の会合では利下げに踏み切らず、様子見姿勢を取る見込みだ。

ECBは24日の会合で中銀預金金利を現在の2%に据え置く公算が大きい。トランプ大統領が示唆している30%関税が実際に発動された場合の影響をより適切に評価できるようになるまで、対応を先送りする構えとみられる。

この時期は多くの当局者が休暇に入る。インフレ率は目標水準にあるとの認識を改めて示し、9月10-11日の会合に向けて新たな四半期経済予測がまとまるまでは、景気先行き懸念を持ち越すとの判断が妥当と映るかもしれない。

 

だが、問題が潜んでいるという点は当局者も認識している。関税措置を巡る懸念に加え、ユーロ高が物価見通しを押し下げ、輸出企業の収益をさらに圧迫する恐れもある。また、フランスでは、膨張する財政を巡って新たな政治危機が起きる兆しも出ている。

こうした状況を踏まえ、ECB政策委員会は「会合ごとに」判断する方針を堅持するとしても、9月に再び利下げを行う可能性が高まっていることを内部的には認識しているかもしれない。

モルガン・スタンレーのエコノミストらはリポートで、ラガルドECB総裁が24日の会見で、成長リスクは「下振れ方向に傾いている」との見方を改めて示す公算が大きいと予想している。

ブルームバーグ・エコノミクスのユーロ圏担当シニアエコノミスト、デービッド・パウエル氏は「24日の会合後に示される政策委の文言は6月と同様になると見込まれ、コミットは避けつつも追加利下げの可能性に含みを持たせるだろう」と見込んだ。

 

原題:ECB Won’t Flinch Yet in Shadow of Trump’s Trade War: Eco Week(抜粋)

--取材協力:Beril Akman、Mark Evans、Vince Golle、Anthony Halpin、Erik Hertzberg、Robert Jameson、Swati Pandey、Monique Vanek.

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