(ブルームバーグ):赤沢亮正経済再生担当相は19日、米国との関税交渉のため来週前半にもワシントンを訪問する予定だと明らかにした。実現すれば米国との関税交渉のため赤沢氏が訪米するのは8回目となる。
赤沢氏は大阪で記者団に対し、「諸般の事情が許せば、米国の関税措置に関する日米協議を実施すべく、来週早々にも米国ワシントンDCを訪問する予定だ」と述べた。訪米中に会う相手や日程については調整中だとして言及を控えた。
赤沢氏は同日、大阪・関西万博の行事に参加したベッセント米財務長官を現地で応対。赤沢氏によると、米国の関税措置に関する協議は行わなかった。
ベッセント氏は19日に万博で開催された式典で、トランプ米大統領の日本批判には触れず、同盟関係をさらに強化する考えを示した。経済関係については日米相互に最大の投資国であることを指摘し、「これらの水準をさらに高め、両国をさらに発展させていくことを期待する」と語った。
ベッセント氏は18日のX(旧ツイッター)への投稿で、「急ぐよりも良い合意が重要」との考えを示した上で、「米国と日本双方に利益になる貿易協定は依然として実現可能な範囲にある」と述べた。赤沢氏は同投稿に対する返信で、ベッセント氏に賛同する考えを示し、合意の実現に意欲を示した。
ベッセント氏は万博の大統領代表団の一員として来日。18日には石破茂首相と面会したが、突っ込んだ意見交換はなかった。20日投開票の参院選では自民、公明の連立与党の苦戦が報じられている。選挙後に政局が不安定化する恐れがあり、日米協議の不透明感を高めている。
日本への25%の関税発動が8月1日に迫る中、トランプ大統領は現地時間16日、対日関税は発表通り発動されるとの認識を示した。赤沢氏は日本時間17日にラトニック商務長官と電話協議を行うなど合意の可能性をなお模索しているほか、来週前半にも関税交渉のため訪米する方向で調整に入ったと毎日新聞が18日に報じた。
トランプ政権は、自動車・自動車部品に25%、鉄鋼・アルミニウム製品に50%など分野別の追加関税を既に課している。他の品目は輸入品に一律10%の基本税率を適用しているが、二国間交渉がまとまらない国に対しては8月1日以降、個別に税率を上乗せする方針だ。トランプ氏は銅に50%、医薬品に最大200%の分野別関税を課す可能性も示している。
(ベッセント米財務長官のコメントを4段落目に追加しました)
--取材協力:稲島剛史、山口裕子.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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