(ブルームバーグ):ウクライナ軍情報機関のトップ、キリロ・ブダノフ氏がブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、北朝鮮が現在、ウクライナでの戦争に使用されるロシアの弾薬の最大4割を供給しているとの見方を示した。北朝鮮とロシアの協力関係はますます深まっているとみられる。
ブダノフ氏は、北朝鮮が弾道ミサイルや砲兵システムなど、弾薬以外の兵器もロシアに送っていると語った。ロシアはその見返りとして、資金や技術を北朝鮮に提供しており、国際的に孤立する平壌の立場を支えているという。

ブダノフ氏は、北朝鮮製の砲兵システムによる攻撃が、ここ3カ月間で軍事情報部隊の損失の60%に関与しているとし、「北朝鮮は膨大な備蓄を抱えており、生産は昼夜を問わず続けられている」と述べた。
ブルームバーグ・ニュースは、北朝鮮から供給されたロシアの兵器備蓄について、ブダノフ氏の見解を独自には検証できていない。
ロシアは、昨年6月にプーチン大統領が24年ぶりに平壌を訪問し、金正恩総書記と包括的戦略パートナーシップ条約を締結して以降、北朝鮮との軍事協力を強化している。北朝鮮は、ウクライナ軍が占領したロシア西部クルスク州の一部地域の奪還支援のため、数千人規模の兵士を派遣した。金正恩氏はロシアへの「無条件の支持」を表明しており、西側諸国の情報機関の推定では、ロシア軍に数百万発の大砲を供与したとされている。

ロシアの高官らによる北朝鮮訪問も相次いでいる。ロシアのラブロフ外相は11日から3日間の訪朝を予定しており、ショイグ安全保障会議書記は、6月までの3カ月で3回訪朝した。
トランプ米大統領は8日、防空システムなどを含め、先週突如中断されたウクライナへの兵器供給を再開するよう命じた。ブダノフ氏は、米国の支援は「当面は続く」との見通しを示し、米政府が追加の防空システムを供与する可能性にも言及した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米国が求める無条件停戦に応じる姿勢を示している。一方、クレムリンの発表によると、プーチン氏は先週、トランプ氏との電話会談で「ロシアは戦争目標を後退させない」と伝えた。
ブダノフ氏は、停戦は年末を待たず、可能な限り早期に実現すべきだと述べた。

ロシアはここ数週間、ウクライナへの空爆を強化しており、ドローンの使用数は過去最多を記録した。9日にはドローン728機を発射し、住宅やインフラに被害を与えた。国連の報告では、6月の民間人被害は死者232人、負傷者1343人でこの3年間で最悪となった。
原題:Ukraine Spy Chief Says 40% of Russian Ammunition Is North Korean(抜粋)
--取材協力:Maxim Edwards.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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