(ブルームバーグ):米アップルで人工知能(AI)モデル開発を統括していた最高幹部がメタ・プラットフォームズに移籍することが分かった。AI分野で苦戦を強いられているアップルにとって、新たな打撃となる。
事情に詳しい関係者によると、アップルで基盤モデルチームを率いていた著名エンジニアでマネジャーのルオミン・パン氏が退社する。パン氏は2021年にアルファベットからアップルに加わった。関係者によれば、同氏はメタが新たに立ち上げたスーパーインテリジェンスのチームにとって重要な採用になる。人事が未発表であることを理由に関係者が匿名で語った。

メタはパン氏を採用するため年間数千万ドル規模の報酬パッケージを提示したという。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は採用活動を積極的に進めており、スケールAIの共同創業者アレクサンドル・ワン氏やAI新興企業を創業したダニエル・グロス氏、ギットハブのナット・フリードマン元CEOを高額報酬で迎え入れている。
別の関係者によると、メタは7日にオープンAIの研究者ユアンジ・リー氏と、アンソロピックPBCでAIソフトウエア「Claude(クロード)」の開発に関わったアントン・バフティン氏も採用した。先月にはオープンAIの別の研究者を複数採用している。
メタはコメントを控えた。アップルとパン氏、オープンAI、アンソロピックにも取材を試みたが返答はなかった。
メタは人間以上の能力でタスクをこなすAI技術「スーパーインテリジェンス(超知能)」に注力する体制を整えるため6月末にAIチームを再編した。同社は今年、AI関連の取り組みに数百億ドルを投じると発表している。
一方、アップルでは、パン氏が約100人規模のチームを率い、自社のAIプラットフォーム「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」や各種デバイスのAI機能を支える大規模言語モデル(LLM)の開発を担っていた。同社は6月、これらモデルを外部開発者に初めて公開すると発表した。今後はスマートフォン「iPhone」やタブレット「iPad」向けの新たなアプリ開発が可能になる。
ただ、社内では基盤モデルチームに新経営陣が厳しい目を向けており、音声アシスタント「Siri(シリ)」刷新にオープンAIやアンソロピックなどの外部モデルの活用が検討されている。こうした社内議論を受け、ここ数週間、基盤モデルチームで士気低下も見られていた。
原題:Apple Loses Top AI Models Executive to Meta’s Hiring Spree (2)(抜粋)
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