(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員(MPC)のテイラー委員は4日、英国の金利が最終的にどこに落ち着くべきかという問題を回避することはできないとの考えを示し、中立金利に関する明言を避けてきたベイリー総裁のアプローチに、真っ向から異議を唱えた。
テイラー氏は、事前に公表されたロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で行う講演の草稿で、景気を刺激も抑制もしない中立金利を巡る議論を避けるのは「困難で、問題が多く、私の見解では逆効果だ」と述べ、改めて利下げを主張した。
草稿では「政策金利の誘導において、会合ごとに段階的に判断する手法もあるが、金利の落ち着く水準という問題は、決して完全に回避できるものではない」とし、中立金利の水準は「金融市場、銀行、企業、家計、全ての人にとって極めて重大な関心事項であり、影響も大きい」と強調した。
テイラー氏はこれまでも、英国の中立金利がどのあたりに落ち着くかについて、極めて率直な見解を示してきた。一方、ベイリー氏とその側近は、この問題に繰り返し答えを避け、「不確実性が大きすぎる」としてきた。
金融政策におけるハト派であり、自らを「積極的な政策運営者」と称するテイラー氏は、英国経済の悪化リスクに備える「保険」として利下げを行うべきだと主張し、歴史的に見ても早めの対応が望ましいとの見解を示した。
同氏は、経済と物価への一連のショックがほぼ収束すれば、政策金利の正常水準はおおよそ2.75%になると見込んでおり、現行の政策金利4.25%は、中立に戻るには「長い道のり」だとしている。
市場では、年内にさらに0.25ポイントずつ2回の利下げが実施され、2026年半ばまでにさらに2-3回の利下げが続くとの見方が織り込まれている。
原題:BOE’s Taylor Warns Bailey Neutral Rate Question Cannot Be Dodged(抜粋)
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