(ブルームバーグ):クオンツ戦略の大手ヘッジファンド運用会社は2025年前半、貿易戦争などを受けた相場混乱下で好調なパフォーマンスを上げた。銘柄間の優勝劣敗が明確になる相場環境で、従来からの投資戦略が有効に働いた。
市場は強い銘柄を弱い銘柄よりも評価し、勝者と敗者の格差が拡大した。AQRキャピタル・マネジメントのクリフ・アスネス氏が、「基本的な合理的投資」と呼ぶ状況への回帰だ。
こうした銘柄間の大きなばらつきは、ルールに基づくシステマチック・ヘッジファンドにとって好機となり、今年これまでに好パフォーマンスを上げる要因となった。
好調だったファンドには、マーシャル・ウェイスのTOPS、ルネサンス・インスティテューショナル・エクイティーズ・ファンド、AQRデルファイ・ロング・ショート・エクイティーなどが含まれる。いずれも11%程度のリターンを上げており、ヘッジファンド全体を上回った。
ブラックロックのマネジングディレクター、リチャード・マシソン氏は「再び、一部の企業が他の企業よりも好調になっている」と指摘。「市場全ての銘柄について最新の知見を反映してポートフォリオに組み込む投資手法にとり、この投資機会は非常に魅力的だ」と説明している。
1月から6月にかけて市場は大きく動いた。S&P500種株価指数は09年以来最大の反転を見せ、商品市場のボラティリティー(変動性)も一時、過去3年間で最高水準に達した。そうした状況でも、システマチック株式戦略は好調さを維持した。
これらクオンツファンドは、市場の混乱を回避するのではなく、各銘柄の独立した動きが強まった相場の波に乗ることで利益を獲得してきた。
足元で相場は落ち着きを取り戻し、3日に発表された米雇用統計が予想を上回るなど堅調な指標も材料に、S&P500種は最高値圏で推移している。こうした中、クオンツ戦略の優位性が今後も維持されるかどうかが注目点となる。

クオンツ戦略の運用手法はさまざまだが、一般的には投資対象を広く分散し、定量的な特性や過去のパターンに基づいて銘柄を分析する。時価総額が大きい銘柄への集中度が低く個別銘柄が独自の動きを見せる今年のような相場環境で勝率が高まりやすい。
原題:Quant Hedge Funds Ride Whiplash Markets to First-Half Riches(抜粋)
--取材協力:Lu Wang.
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