(ブルームバーグ):米銀大手が相次ぎ増配を発表した。今年の米連邦準備制度理事会(FRB)によるストレステスト(健全性審査)を通過したことを受けた。規制当局が近年の要件を一部緩和したことで、従来よりも通過しやすくなっていた。
JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ(BofA)などが四半期配当を引き上げたほか、シティグループやウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーなども増配を明らかにした。
先週発表のFRB年次ストレステスト結果では、審査対象となった22行が全て、リセッション(景気後退)シナリオでも最小限の資本要件を上回った。5500億ドル(約78兆9000億円)余りの損失に耐えられることが示され、「大手銀行は深刻なリセッションに耐えられる態勢にある」と判断されていた。
年次ストレステストは2008年の世界的な金融危機後に導入された。銀行が損失に備えて利益を留保せず、配当や自社株買いにどれだけ回せるかを判断する材料になる。

このほか、JPモルガンの取締役会は、500億ドル規模の自社株買いを承認した。モルガン・スタンレーも、最大200億ドルの株式買い戻しプログラムを改めて承認。複数年にわたるプログラムで、期限は設けられていない。
24年に米経済が緩やかに減速したことなどを要因として、今年のテストでは、比較的厳しくないシナリオでの貸倒損失が少なかった。プライベートエクイティー(PE、未公開株)損失の減少と、純収入の増加も結果に影響した。

FRBは昨年、ストレステストのプロセスを見直す方針を示し、今年4月に資本要件の設定について2年間の結果を平均する案を公表した。
ボウマン副議長(銀行監督担当)は、変更について「ストレステスト結果と対応する資本要件の過度な変動」に対処するのに役立つとの見方を示していた。
原題:Biggest US Banks Boost Payouts After Lighter Fed Stress Test (2)(抜粋)
(チャートを更新します)
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