7月第1週(6月30日-7月4日)の債券市場では長期金利が低下すると予想される。日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、6月調査)や高田創審議委員の講演が、早期利上げ観測の後退につながりやすいとみられるためだ。

市場参加者の見方

◎三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト

  • 長期金利が低下しやすい地合いとなりそうだ
  • 金融政策についてハト派的な見方が強まりそう。高田委員の講演は植田和男総裁の会見などと同じ内容と予想、短観で景況感悪化が示されれば賃金と物価の好循環に黄信号となる
  • 米国金利の低下傾向も理由の一つ。労働市場の軟化度合いを織り込む形で米長期金利は4.2%を目指す
  • 10年債入札は利上げ観測の後退や新発債への需要で無難に通過できるとみており、20年以下の金利に低下圧力がかかりやすい
  • 一方、30年債入札は1000億円の発行減額が十分かどうかを確認する入札。米国からの防衛費増額要請や参院選を控えて強気になれない。弱い結果となれば30年や40年債の利回り上昇が進みそうだ
  • 新発10年物の379回債利回りの予想レンジは1.39-1.45%

◎みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジスト

  • 市場の注目は米経済指標と10年債、30年債の入札。特に30年債入札は超長期債の需給の安定感を測る重要なバロメーターとなり、低調なら需給不安が再度大きなテーマとなる可能性
  • 10年債入札は無難に消化され、長期金利は狭いレンジで推移しそうだ
  • レンジが破られるとすると米供給管理協会(ISM)指数や雇用統計が弱い場合や関税交渉が決着する場合で、金利低下リスクが高い
  • 新発10年物の379回債利回りの予想レンジは1.42-1.45%

国債入札

日銀買い入れ

主な材料

  • 1日:日銀短観(6月調査)
  • 3日:日銀の高田審議委員が三重県金融経済懇談会で講演、記者会見
  • 3日:参議院選挙公示
  • 3日:6月の米雇用統計

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.