(ブルームバーグ):27日の日本市場では株式が続伸。日経平均株価は終値でおよそ半年ぶりに4万円を回復し、東証株価指数(TOPIX)とともに年初来高値を更新した。米関税懸念が後退し、投資家心理が上向いた。円は1ドル=144円台でもみ合い、債券はリスク選好の流れで下落した。
米国と中国が関税休戦に署名したほか、米ホワイトハウスのレビット報道官は上乗せ関税の一時停止措置が終了する7月9日の期限は「重要でない」と語り延長に含みを持たせた。
みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、これらは株式市場にとって追い風で、前日の米国株に続いて日本株の買い材料となったと述べた。また、日経平均が4万円を上回ったことで投資家心理が一段と改善し、自動車などの大型株が恩恵を受けていると話した。
株式
東京株式相場は4日続伸。トヨタ自動車やホンダなど輸送用機器が相場上昇をけん引し、東京エレクトロンやディスコなど半導体関連株も買われた。
市場の強気ムードはアジア全体に広がり、MSCIアジア太平洋指数は約4年ぶりの高値をつけた。ATグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トウィデール氏は、中東情勢が落ち着いた上、貿易交渉が進展、米利下げ期待も高まっており、こうした要因が世界の株式相場を押し上げていると語った。
為替
円相場は1ドル=144円台でもみ合い。米中の関税休戦に加え、「報復税」と呼ばれる米内国歳入法899条項の提案がトランプ米大統領の推進する大型税制法案から削除されることになり、ドルにリスク志向の買いが入ったが、上値は限定的だった。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、米中の署名と報復税の削除は「いずれもポジティブな材料」としつつ、ドルが大きく買い戻されるような材料ではないと話す。米経済の弱さと利下げ観測によりドル安基調が続くと予想している。
多くの米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは7月の利下げに慎重な見方を示している。しかし、関西みらい銀行の石田武ストラテジストは「可能性は結構ある」と話す。米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任指名をにらんで「FOMC内で徐々にハト派化が進む」とし、ドル・円相場は140円前後を目指すとみている。
債券
債券相場は下落。米中の関税署名を受けたリスクオンの流れで売られた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、中東情勢が落ち着き、米中も関税交渉合意となったことで株価が上昇し、金利の押し上げ要因になっていると話した。
朝方発表された6月の東京都区部消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアが前年比3.1%上昇と前月から伸びが縮小した。市場予想(3.3%上昇)を下回った。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、「下振れは水道料金の割引の影響があったためで、それほど内容は弱くない」と指摘。その上で、「日本銀行は利上げ方向だが、7月9日の関税交渉期限が不透明なほか、米国の利下げが7月に前倒しになると世界的に金利低下が進むので、円債を売っていくのも難しくなっている」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:長谷川敏郎、アリス・フレンチ、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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