全国の先行指標となる6月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比の伸びが4カ月ぶりに鈍化した。市場予想を下回った。エネルギーや水道料金が押し下げ要因となった。総務省が27日発表した。

コアCPIは前年比3.1%上昇と5月の3.6%から伸びが縮小した。3%台は3カ月連続。電気代と都市ガス代が政策要因で伸びが縮小したのに伴い、エネルギーは3.6%上昇に伸びが鈍化した。水道料は東京都による基本料金無償化の影響で34.6%下落した。一方、生鮮食品を除く食料は7.2%上昇と1年8カ月ぶりの高い伸びだった。

生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは3.1%上昇と前月から伸びが縮小した。3%台は3カ月連続。総合指数も3.1%上昇と伸びが鈍化した。いずれも市場予想を下回った。

 

日本銀行は17日の金融政策決定会合で政策金利の維持を決めた。日銀ではトランプ関税の影響が年後半に本格化し、経済・物価の下押し要因になるとみている。足元までの消費者物価は堅調に推移しているが、当面は米関税政策などの影響を慎重に見極めていく展開になりそうだ。

S&Pグローバルマーケットインテリジェンスの田口はるみ主席エコノミストは、コメやエネルギーのプラス幅縮小など、政府による政策の影響が大きいとの見方を示した。消費はまだ横ばいで、トランプ関税がどの程度外需に下押し圧力になるかも分からないと指摘。その上で、日銀が「すぐに利上げということではない。外需の不透明要因がどれだけ落ち着くかが大きい」としている。

賃金動向を反映しやすいサービス価格は2.1%上昇となり、前月の2.2%上昇からプラス幅が縮小した。今年の春闘の賃上げ率は、昨年に続いて5%台の高水準となっており、賃金から物価への転嫁の進展に注目が集まっている。

統計の発表後、東京外国為替市場の円相場は1ドル=144円台後半に下落している。東京CPIの伸びが予想を下回ったことを受けて、円が売られている。

総務省の説明

  • 電気代・都市ガス代は、資源価格の下落や昨年6月に政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業の補助額が縮小したことの裏が出た
  • 生鮮食品を除く食料は、チョコレート、コーヒー豆、インスタントコーヒーなどが押し上げ要因
  • 米類は90.6%上昇で2カ月連続のプラス幅縮小。備蓄米は調査品目の対象ではない
  • 通信料(携帯電話)のプラス幅拡大は、6月に大手携帯会社によるプラン変更などが行われたため
  • サービスのプラス幅縮小は、前年に診療報酬改定で公共サービスの医療・福祉関連サービスが上昇した反動が出た。一般サービスの外食も餃子やすしなどで昨年の値上げの裏が出ている

(総務省の説明とエコノミストコメントを追加して更新しました)

--取材協力:横山恵利香.

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