20日に開催された日本取引所グループ(JPX)の株主総会で、山道裕己最高経営責任者(CEO)の取締役選任案は過去最低の賛成率で可決されたことが分かった。

同社が24日に関東財務局に提出した臨時報告書によると賛成率は82.11%で、2013年以降のCEOの取締役選任案で最低水準だった。同年に東京証券取引所グループと大阪証券取引所(現大阪取引所)が合併してJPXが設立された。

株主総会を前に、米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は元東証社員によるインサイダー問題を理由に再任反対を推奨していた。同問題を受けてJPXは山道氏や東証の岩永守幸社長などの月額報酬を2カ月間50%減額した。米議決権行使助言会社グラス・ルイスは再任賛成を推奨していた。

野村証券在籍時にはグローバルインベストメントバンキング本部のトップを担い、大証でも社長を務めた山道氏は、昨年の好調な日本株市場の立役者として市場から評価されていた。JPX傘下の東証は上場企業に対して企業価値の向上を呼びかけ、株価指数は24年に史上最高値を更新。アクティビスト(物言う株主)もより活発に企業へ働きかけるようになった。

松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、山道CEOの賛成率は「ISSの反対推奨に海外の機関投資家が追随した形だろう」と話す。表向きは反対の投資家も、不祥事は末端の一部社員によるものと見る向きもあると指摘。「賛成率が50%を切るような危うい状況にあるわけでもなく、JPXとしては今後も反対票が集まることは考えていないのではないか」と述べ、経営への影響は限定的とみる。

JPXの株価はこの1年で約18%下落。1.5%上昇した東証株価指数(TOPIX)を大きくアンダーパフォームしている。

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