関税や米財政問題、インフレ不安、地政学的リスクなど波乱要因が多かったにもかかわらず、2025年前半は多くの資産クラスが同時に値上がりした。ここ数年見られなかった相場の動きで、分散型ポートフォリオの投資家にとっては記憶に残る半年となりそうだ。

株式や債券、コモディティーの価格が激しく揺れ動く中で、特定の資産に偏らない戦略が報われ、過度な自信にはしっぺ返しが待っていた。

大型ハイテク銘柄への集中投資がこのところの主流だったが、リスクを複数資産に分散する手法が歴史的水準に近い好調さを見せている。

株式と国債、社債、コモディティー、現金で構成するソシエテ・ジェネラルのマルチアセットポートフォリオは、少なくとも08年以降で最も好調な1-6月(上期)を記録する勢いだ。

 

新型コロナウイルスの流行期に時代遅れとされた「株式60%・債券40%」の基本戦略も健在だ。また、リスクを均等に配分するリスクパリティー戦略は6%のリターンを確保しているとの試算もある。

今のような分断された市場環境では、いずれかの方向に傾斜するのではなく、全天候型ポートフォリオで中立的立場を保つのが最善との見方がある。

不確実性

アストリア・ポートフォリオ・アドバイザーズのジョン・ダビ最高経営責任者(CEO)は「強い経済を示す指標がある一方で、減速を示す指標もある。不確実性が明らかに高まっている」と指摘した。

今年は米国外の株式や金(ゴールド)、暗号資産(仮想通貨)ビットコインなどの資産がS&P500種株価指数を上回るパフォーマンスとなり、視野を広く持った投資家が報われている。

ダビ氏の会社が運用するマルチアセット型上場投資信託(ETF)は金を中心に保有し、年初来で10%超のリターンを上げた。「不確実性に耐えるポートフォリオであり、予測することを目的にしていない」と同氏は説明した。

 

米S&P500種株価指数は年初来でわずか1.5%上昇にとどまる。米10年国債利回りも横ばいで、広範な国債インデックスは年初来で3%のリターンだ。

一方で、長らく「マグニフィセント7」銘柄偏重で見過ごされてきた資産が躍進。米国とカナダを除く先進国株は年初来で14%上昇し、ブルームバーグ商品指数は8%上昇、金は30%近く値を上げた。

ブルームバーグが追跡するETFの中で、過去1カ月の資金流入が最も多かった上位12本には、金やビットコイン、米国以外の株式、米財務省短期証券といった多様な資産が並ぶ。米国の株式や債券への投資だけでなく、より幅広い資産の保有を志向する投資家が増えていることを示している。

原題:Wall Street’s First-Half Whiplash Rewards All-Weather Portfolios(抜粋)

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