野村ホールディングス(HD)の奥田健太郎社長が同社社長として歴代最高の12億790万円の報酬を得たことが分かった。一連の不祥事を受けて役員報酬を2度返上していたが、好調な業績を反映した。

同社が23日提出した2025年3月期の有価証券報告書で示した。奥田氏の報酬は前の期と比べて2.4倍になった。同期の自己資本利益率(ROE)が目標とする8-10%を達成したことなどから、業績連動部分の報酬額が大幅に増えた。

野村HDは25年3月期、国債相場操縦問題や強盗殺人未遂事件など社員による不祥事を相次いで起こした。不祥事に伴い奥田氏は役員報酬の一部を2度返上した。

一連の不祥事を受け、投資家からは企業統治のあり方を問う意見が出ている。米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は今月上旬、奥田氏と永井浩二会長の取締役再任について反対を推奨した。

野村HDは、両氏が「取締役会を構成するメンバーとしてふさわしい人材」である旨を説明する文書を公表。不祥事に適切に対応し、業績が好調だと主張した。

 

同社の業績はホールセール部門とウェルス・マネジメント部門に支えられ、25年3月期の連結純利益が前の期比2.1倍の3407億円と19年ぶりに過去最高を更新した。奥田氏の報酬にも反映された。

ホールセール部門長のクリストファー・ウィルコックス氏の報酬は奥田氏を上回る22億8780万円(1500万米ドル)で、トヨタ自動車の豊田章男会長の19億4900万円を上回った。

野村HDの広報担当者は、奥田氏とウィルコックス氏の報酬について「報酬委員会がグループ全体の業績および各人の業績・成果等を踏まえて決定しております」と電子メールで回答した。

奥田氏の報酬額は国内金融機関トップの中で抜きんでた形となった。大和証券グループ本社の荻野明彦社長が同期に3億9800万円、三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長は24年3月期に3億3900万円だった。米国ではJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が55億円超と高水準を得ている。

(8段落目に同社のコメントを追加します)

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