(ブルームバーグ):キャシー・ウッド氏の旗艦ETF(上場投資信託)「アーク・イノベーションETF」(ARKK)が、貿易戦争の混乱で付けた底値から劇的な回復を見せている。4月初め以降で50%超の値上がりを記録したが、投資家の信頼回復にはつながらず、むしろ懐疑的な見方が強まっている。
資金流出が止まらないほか、弱気な見方に加え戦略的なヘッジを背景に、空売り比率も過去最高水準にある。さらに、個人投資家が利用しやすいレバレッジ型ETFが台頭し、ウッド氏が選んだ主要ハイテク銘柄への集中投資戦略と競合している。

結果的にARKKは、運用成績が好調にもかかわらず、信頼を取り戻せずにいる。もっとも新型コロナウイルス流行期には、破壊的イノベーションを体現する存在となっていた。
金融分析会社S3パートナーズのデータによれば、ARKKは浮動株に占める空売り比率が約37%に達し、コロナ禍に付けたピークを上回っている。
ストラテガス・セキュリティーズのシニアETFアナリスト、トッド・ソーン氏はウッド氏のファンドについて、「2020年や21年に積極的に資金を投じた投資家が、熱狂的な買いとその後の失速の影響を引きずっているのではないか」した上で、「そうした投資家は暗号資産(仮想通貨)やレバレッジ型個別株ETFといった別の分野にも移行したかもしれない」と語った。
ARKKでは12日、1日当たりの資金流出額が22年以降最大となった。今年これまでの流出は8億4000万ドル(約1200億円)を超えた。純流出は5週連続で続いている。ARKKの広報担当者はコメント要請に応じていない。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアタナシオス・プサロファギス氏はARKKが人気を失っている理由について、運用成績の低さだけでなく、個別株ETFを活用すれば、より高い成果が見込めるポートフォリオを構築できるようになった点を挙げる。
「ARKKを構成する主力銘柄のほぼ全てに対して、レバレッジ型やインバース型のETFが既に存在するか間もなく登場する見通しだ。こうした商品を使えば、アクティブ運用をしなくてもARKKの戦略を再現・強化できる」と指摘。「このようなETFの普及が進めば、投資家が直接、各銘柄に向かうようになり、ARKKのようなテーマ型ETFは存在意義を失うリスクがある」と分析する。
同ファンドはここ数カ月、上昇しているが、過去5年間のリターンはほぼゼロで、S&P500種株価指数の100%超のトータルリターンと大きく見劣りする。
原題:Cathie Wood’s 50% ARKK Rebound Hits a Big Wall of Skepticism(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.