アップルの年次開発者会議(WWDC)では、出遅れている人工知能(AI)で挽回できるような目玉は乏しいようだ。同社はiOSなど各種オペレーティングシステム(OS)のインターフェース刷新と、年次ベースの新しいブランド体系を発表する。WWDCの基調演説は現地時間9日午前10時(日本時間10日早朝2時)に始まる。

2024年のWWDCでスピーチするアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)

iOS 26やMac OS Tahoeなどが登場し、MacやiPadを使ったビジネスに適した新たな機能も披露される。人工知能(AI)戦略のアップル・インテリジェンスについては、外部開発者の利用に大規模言語モデル(LLM)を公開する方針も示される。それでもAI関連の発表は驚くほど控えめで、アルファベットのグーグルやメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、オープンAIに見劣りする可能性がある。

アップルは別の分野でも厳しい競争を強いられている。かつて同社のデザインを率いていたジョニー・アイブ氏は、オープンAIのサム・アルトマン氏と手を組み、新たなハードウエアを開発する。サムスン電子はAI検索のパープレキシティと包括的な提携を計画している。

6日の米株式市場でアップルは1.6%上昇の203.92ドル。上場来高値は24年12月26日に記録した259.02ドル。

以下はWWDCで予想される発表の一部:

OSのデザインと機能

  • 全OSに新インターフェイス「Solarium」を導入。SolariumはVision ProヘッドセットのOS、visionOSベースで透明感や光を強調
  • iPhoneとiPadのアイコン形状は大きく変わらず。ウィジェットは新インターフェイスに合わせたデザイン更新のみ
  • PhoneとSafari、Cameraアプリを刷新
  • Phoneは新旧インターフェイス切り替えが可能
  • Messagesはアンケート機能と背景イメージの設定が可能に。メタのWhatsAppを意識
  • MacOSでなじみのPreviewアプリがiOSおよびiPadOSに初登場。PDF編集が可能に
  • 新しいGamesアプリ導入、ゲームのダウンロードとArcadeプラットフォームを統合
  • Vision Proに視線スクロールとマジックワンド対応追加
  • iPadのマルチタスク機能をMac風に再設計、Magic Keyboardの使用を推奨
  • Apple Pencilにカリグラフィー機能追加
  • 公共Wi-Fiへのログイン情報をデバイス間で同期可能に
 

AI関連の新機能:

  • Apple Intelligenceによる通話・テキストのライブ翻訳機能を全OSに統合。AirPodsに対面での会話をリアルタイムで別の言語に翻訳できる新機能
  • 外部開発者向けに大規模言語モデルを公開、アップルの技術を使って各社AI機能を実装できるようになる
  • Genmojiが少し進化、2つの標準絵文字の合成が可能に
  • ShortcutsアプリがAI対応にアップグレード、より高度な自動化が可能に
  • 新バージョンの基盤モデルをクラウド・端末用に発表予定
  • バッテリー節約のためのAI機能を開発中。これを搭載する可能性のある薄型iPhone 17の発表はまだ先
  • グーグルのGeminiとの統合を準備中だが、WWDCでの発表は見送り、司法省の判断待ち
  • SiriのAI強化版は発表見送り、導入は早くて1-2年先
  • 音声アシスタント、Siriのアップデートは延期
  • カレンダーとヘルスアプリの大幅刷新は来年以降に延期
  • Swift Assistはハルシネーション問題でローンチに至らず。Xcodeの新バージョンはアンソロピックのClaudeと連携中

原題:Here’s Everything Apple Plans to Show at Its Big Event on Monday(抜粋)

(第4段落に6日のアップル株価について追記します。更新前の記事では見出しの「WWDC2024」を「WWDC2025」に訂正済みです。)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.