(ブルームバーグ):トランプ米政権は、消費者物価指数(CPI)など重要指標の集計を担う労働省・労働統計局(BLS)について、予算・人員の削減に動く。BLSの業務は長年の予算的制約で既に圧迫されており、米経済統計の質と量への不安が一層高まることになりそうだ。
2026会計年度(25年10月-26年9月)の予算概要(Budget in Brief)によれば、トランプ大統領はBLSの予算・人員の約8%削減を求める方針。これに伴い、BLSは雇用統計やCPIといった「最重要連邦経済指標(PFEI)」に集中せざるを得なくなる。
予算概要によると、BLSは「この予算水準の範囲内で、再編案で可能になる以上のコスト削減を実現し、一連の中核データ作成に必要な最重要業務を優先するため、法令が義務付けるか、現行法が用いるPFEI統計プログラムからのデータ作成に集中する」という。
BLSや経済分析局(BEA)、国勢調査局は、インフレ調整後の予算が実質的に目減りする状況に長年直面してきた。さらに調査に回答する人が減り、データ収集の手間とコストが増している。
退職勧奨や早期退職のオファー、自然減を通じて、これらの機関では職員の相当数が既に失われた。連邦機関の新規採用は引き続き凍結されており、首都ワシントンのユニオン駅近くの旧オフィスから最近移転したBLSにとって、リモートワークからオフィスに復帰するよう求めるトランプ政権の方針も負担になる。
こうした人的制約は、各機関が集計可能なデータの量にも影響を及ぼし始めた。
UBSグループの4日のリポートによれば、BLSは一部都市の人員不足のため、CPIの調査対象を減らしている現状を最近認めた。「採用凍結が解除され、追加の人員採用と研修が可能になるまで現在の体制が維持される」というBLSの説明を引用した。
UBSのアラン・デットマイスター氏を中心とするエコノミストらは「価格クォートの数が減れば、インフレ指標としてのCPIの信頼性が損なわれ、月次CPIの変動が大きくなる可能性が高い」と指摘した。CPIの変更については、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先に伝えていた。
トランプ大統領は、商務省の下でBLSをBEA、国勢調査局と統合・再編する案も実現したい意向だ。労働省の予算概要は、こうした動きが時間と費用の効率化、データの質の向上につながると説明した。
原題:Trump Budget Calls for BLS Cuts, Raising Data Quality Concerns(抜粋)
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