特殊詐欺の一大拠点とされるカンボジアで、日本人20人以上が拘束されました。JNNはカンボジアの闇バイトの勧誘役とみられる人物に接触。カンボジア各地で詐欺のかけ子らが集められている実態が見えてきました。

取材班が向かったのは、タイとの国境に近いカンボジア北西部の都市ポイペト。

記者
「アパートのような建物がずらりと並んでいますが、実はこの奥にもたくさんの共同住宅があり、1000人近くが生活しているそうです。この敷地内で今回、日本人らが拘束されたということです」

27日に地元住民が撮影した写真には、詐欺拠点とみられる建物に集まる大勢の警察官の姿が。現地当局はこの日、20人以上の日本人を拘束しました。

地元の住民
「(警察車両が)10台くらい止まっていて、何が起きたか分からなくてびっくりした」

現地当局の関係者によると、ポイペトの拠点ではオンラインカジノや特殊詐欺が行われていました。

日本人をはじめ、数十人の外国人がいたとみられ、銃で武装した見張り役が建物を監視したり、組織の指示役らが詐欺の実行役とされる外国人らを暴行したりしていたということです。

カンボジアでは近年、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に伴い、中国からの投資が拡大しています。ただ、その陰では…

記者
「このあたりには中国などからの投資でつくられたカジノ施設がたくさんあります。このような場所を隠れ蓑に、犯罪組織が流れ込んでいると言われています」

カジノ施設などで暗躍する中国系の犯罪組織とも協力しながら、国内各地で多くの日本人詐欺グループが活動。カンボジアはまさに、特殊詐欺の一大拠点だと指摘されているのです。

こうした詐欺グループをめぐっては、SNS上の求人広告に応募して渡航した日本人が拠点に監禁されて詐欺を強要される事案も相次いでいて、日本政府が注意を呼びかけています。

実際にカンボジアで“事務”の仕事を募集している人物に記者が電話してみると…

カンボジアで“事務”の仕事を募集
「日本人のみってわけでもないんですけど、ただ8割が日本人」

首都プノンペンや南部シアヌークビルで週に6日間稼働し、月収は30万円からとのこと。

こちらが記者であることを明かしたあとも、相手は淡々とした様子で答えます。

カンボジアで“事務”の仕事を募集
「(Q.電話をかける仕事をプノンペンとか、シアヌークビルで紹介できるってことなんですかね?)プノンペン、シアヌーク以外にも、そもそもカンボジア以外とかもあるんですけど。(Q.他の国とかもですね)おっしゃる通りです」

相手はその後、「グループのリクルーターに仲介を頼まれただけ」などと曖昧な返事を繰り返しました。

カンボジアで“事務”の仕事を募集
「(Q.詐欺の電話をかける感じですかね)だと思いますね」

今年に入り、複数の日本人が見つかったミャンマー国境地帯の詐欺拠点で摘発が強化されたことから、犯罪組織がカンボジアのポイペトなどに拠点を移しているとの情報もあり、現地当局は実態を詳しく調べています。