AI進化とともにリスクも

山形キャスター:
そういったことも分かりますが、やはりAIが進化していて、リスクも広がっていますよね。
例えば、有名人との2ショットや卑猥な動画を作成し拡散したり、声優の声を学習させて好きなコメントを言わせるなどのリスクもあると思うんですが、罰則についての議論は実際に行われたんでしょうか?
渡部 記者:
法案作成前の、一般の方に意見を求める「パブリックコメント」のときには、有識者や企業から、「罰則付きの法規制がある程度必要なんじゃないか」という意見がかなり出ていました。ただ実際に法律の作成に携わった政府関係者等に話を聞くと、罰則があることで「イノベーションを阻害しかねない」ということで、現時点では罰則が設けられなくなったんです。
井上貴博キャスター:
確かにAIはリスクもあるけれど、怖がるだけではなくてどう取り込むかを考える必要があります。日本も今後、人口が減っていくので、対応の仕方は迫られます、法律などの面でも。

ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長 石田健さん:
もちろん罰則も重要ですが、その前に推進・活用の点で、そもそも日本がアメリカや中国などに比べて、大規模なAIの領域に投資ができているのかということも重要です。
単純に投資をするのがビジネス的に良いという話だけではなく、そのくらい本腰を入れてやることによって新たなリスクや被害が見えてくる。それをするための大前提として、かなり遅れをとっていると思います。
しかも今は、「民間は民間に任せましょう」「政府は政府で」ということではないと思います。トランプ大統領がOpenAIやソフトバンクを呼んでスターゲイト計画という大規模なプロジェクトをやっているように、各国が官民一体となって取り組んでいるので、まずそこに追いついた上で、規制・罰則にどう折り合いをつけていくかが重要になってくると思います。
先に推進活用にある程度ボリュームがないと、罰則や法規制も、理念法だけにとどまってしまうと思います。実態がつかめないというところが一番難点だと思いますね。